三菱が斬新「和製スーパーカー」を実車公開! V6エンジン×4WD搭載で超カッコイイ! 画期的「アクティブエアロシステム」採用した「HSR-II」コンセプトは今も技術が活きる1台だ
三菱自動車工業が「オートモビルカウンシル2025」で展示したコンセプトカー「HSR-II」。実は最新モデルのSUV「アウトランダーPHEV」とつながりがあるのです。どういうことなのでしょうか。
三菱が誇る「当時の最先端」を詰め込んだ1台 その哲学は「今」も生きる…
2025年4月11日から13日にかけ、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「AUTOMOBILE COUNCIL(オートモビル カウンシル) 2025」。
過去の名車が一堂に会するこのイベントでは、自動車メーカーやインポーターも出展しており、毎年テーマに沿った魅力的な展示を行っています。
なかでも、出展メーカーの三菱自動車工業(以下、三菱)は、同社の過去の名車と現行フラッグシップモデルの「アウトランダーPHEV」、そしてその隣にコンセプトカー「HSR-II」を展示して注目を集めました。

HSR-IIは、1989年開催の第28回「東京モーターショー」に参考出品されたコンセプトカーです。
HSRとは「Highly Sophisticated-transport Research」の略です。
「高い性能を誰もが安全・安心に運転できる新しいイージードライブの実現」を目指した一連の先行研究車両で、「HSR」から「HSR-VI」までの6モデルが1987年から1997年までに発表されました。
第一弾のHSRは、高性能スポーツセダン「ギャランVR-4」用の「4G63」型2リッターDOHCターボエンジンを295psにパワーアップ。
さらにフルタイム4WD・4WS(4輪操舵)・4輪ABS・アクティブECS(電子制御サスペンション)などを統合制御するシステムを、Cd値0.20という空力ボディに搭載。
どんな路面状況や天候条件下でも、快適・安全に高次元のドライビングが楽しめるクルマを目指して開発されました。
続くHSR-IIでも、HSR譲りの最先端の4輪制御技術を投入。フルタイム4WD・4輪ABS・アクティブECSをコンピューターで制御する「アクティブフットワークシステム」を搭載。
ドライブサポート機能としてHSRにも積まれていた「OCS(Overroll Operation Cybernetic control System)」という高度な電子制御技術は、HSR-IIでは「OCS II」に発展。
速度域に応じてダウンフォースを増大させ、エアブレーキとして作動する6枚の可動翼(フラッペロン、カナード、チンスポイラー)を備えた空力技術「アクティブエアロシステム」の制御も、このOCS-IIが行いました。
しかも、追尾走行や自動での車庫入れ機能まで装備していたのですから、その先進性には驚かされます。
外観デザインはHSRのフォルムを生かしつつ、ディティールをより洗練。各部に配されたオレンジの差し色、低い位置に構えたヘッドライト、リアの開閉式フラップがクルマ離れした未来感を強調しています。
ボンネットに描かれたナスカの地上絵「ハチドリ」のマークも印象的です。
コンセプトカーの中には「モックアップ」と呼ばれる実走行できないタイプもありますが、HSR・HSR-IIともに、走行可能なコンセプトカーとして開発されています。
搭載エンジンは3リッターV型6気筒DOHCツインターボ・ツインインタークーラーで武装した「6G72」型エンジンを選択。トランスミッションは4速AT、最高出力は300ps以上と発表されていました。
インテリアを見ると、ダッシュボードデザインは先進的ですが、マニュアルトランスミッション・古典的な3本スポークステアリングホイール・アナログメーター・トグル式のスイッチが並びます。
さらにロールバーも張り巡らされていて、まるで1980年代レーシングカーのような雰囲気が漂います。
しかし当時発表された車内は、1本スポークに見える独特のステアリングホイール、現代のクルマに見られるようなステーの短い手の平操作型のシフトノブ、ダッシュボードを覆う複数のモニターなどを装備。
未来のスーパーカーともいえる、いかにもメカっぽい当時のコンセプトカーというデザインを有しています。
HSR-IIは前述のように実際に走ることが可能で、会場では2台のHSR-IIが走行するシーンのビデオが流されていました。実際の走行には、もしかすると今回展示した個体のように、走らせやすい仕様としたものが用いられたのかもしれません。
ところで、並んで置かれていたアウトランダーPHEVとHSR-IIには、実は深いつながりがあります。
オートモビルカウンシル2025では、メインテーマ「Classic Meets Modern and Future(過去が見た未来)」に沿い、かつて自動車メーカーがどのように未来を見据え、過去に見た未来が現在どのようになっているかを見せる場として、過去に発表されたコンセプトカーを各メーカーが展示していました。
そこで三菱の担当者はHSR-IIを選んだ理由について、このように語ります。
「三菱は古くから4輪制御技術を磨き上げてきました。その一例がHSR-IIで、今から35年以上前に発表されました。
そして2024年秋、大幅改良を施して発売を開始したアウトランダーPHEVにも、その技術は受け継がれています。そのメッセージを発信すべく、HSR-IIを展示いたしました」
三菱を代表する現代の4輪制御技術「S-AWC」も、その源流はHSR-IIをはじめとした地道な研究開発の成果なのです。
過去の研究や歴史が現代のクルマに脈々と受け継がれているのは、まさに長きにわたって伝統、ヘリテイジのなせる技といえましょう。
見た目はまったく異なる2台の間に共通する思想が存在するのは、クルマ好きなら熱くなるエピソードなのではないでしょうか。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
ネタが無いからと言って過去の遺物で記事造るのいい加減にしろよ
気持ちはわかるが、よ〜く読むんだ。珍しく本当に現在進行形のネタだぞw
あの頃までは人の心に未来があったねぇ。
そんな夢溢れるクルマ達、真のニューコンセプトカーが見られるのは何十年後?