高額すぎる「サンルーフ」 つける“理由”はどこにある? 開ければ「心地よい風に青い空と白い雲」… 「全く使わないから不要」論もあるが今「あえて選んでおくべき」大きな理由とは

サンルーフを楽しめる季節は意外と短い…だからこそ「贅沢なのだ!」

 しかし筆者自身、サンルーフ付きのクルマに乗ってみて気づいたことがあります。

 夏は暑いし、冬は寒いし、実はあまり使わないという「衝撃の事実」にです。

サンルーフは「旬の季節」を満喫できる贅沢装備です[写真は日産「エクストレイル」の「パノラミックガラスルーフ」]
サンルーフは「旬の季節」を満喫できる贅沢装備です[写真は日産「エクストレイル」の「パノラミックガラスルーフ」]

 チルト機能こそ季節を通して換気のため有効活用できますが、屋根を開けるサンルーフ自体の恩恵を受けられる時期は春や秋などに限られ、思いのほか短いことがわかります。

 近年は温暖化が進み、ますますその「旬」の季節も短くなってきていると感じます。

 加えて、ノーマルルーフに比べて室内高が低くなる(屋根が格納ではなくアウタースライドタイプであれば影響は少ない)、車重が増え重心も上がり、多少なりとも燃費が落ちるといったデメリットもあります。

 その結果、クルマを買い換える際にも「あまり使わないからいらない」と、サンルーフの予算を他にまわされてしまい、装着車も減っているのです。

 モデルチェンジや仕様変更のたびに車両本体価格があがり、さらには純正カーナビやフロアマットなど、優先度が高いオプションを追加していくと、そもそもサンルーフのように高価な「ぜいたく装備」は、真っ先にリストから外されてしまう宿命にあります。

 そもそも最近のクルマは、サンルーフそのもののオプション設定がないばかりか、固定式のガラスに日よけのシェードを加えたパノラマルーフ仕様といった、似て非なる装備が用意されているモデルも増えてきました。

 シェードを開け放てばガラスルーフの開放感を味わうことができますが、固定されているためサンルーフのように外気を取り込むことはできません。

 筆者が顧問の3代目プレリュードで刷り込まれたサンルーフの醍醐味、あの「心地の良い風が車内へ吹き込まれていく」感覚が得られないのは、どうにも納得がいきません(個人の感想です)。

 しかし設定されているモデルが減り、さらに実際に装着する人が減れば、中古車として市場に出たときに「希少価値の高い個体」と見なされます。

 つまり、リセールバリュー(売却時の再販価格の価値)が高いことを意味します。

 高価なオプション価格分が丸々回収できるかは保証の限りではありませんが、実際には中古車情報などで「サンルーフ」がアピールポイントとなっていることも多く、非装着車より価値が高いのは間違いありません。

※ ※ ※

 オープンカーにはかなわないけれど、サンルーフの屋根を開けたときの開放感を1度知ってしまうと、やみつきになってしまいます。

 旬の季節はとても短いですが、春の桜や秋の紅葉シーズンに空からの心地良い風を味わえ、実に贅沢で豊かな気分が得られます。

 ガラスルーフ車の勢力が増しているなか、10年後にはなくなってしまっている(かもしれない)サンルーフ、今のうちに存分にこの装備の魅力を味わっておきたいところです。

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トヨタ ハリアー

Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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