では、なぜ徒歩数分足らずの区間が、わざわざ独立した「国道」として扱われているのでしょうか。

　道路法第5条によると、一般国道は高速自動車国道と併せて全国的な幹線道路網を構成し、かつ特定の要件を満たし政令でその路線を指定したものと定義されます。

　その要件には「重要都市間を結ぶ路線」が主としてありますが、それだけでなく「国際戦略港湾もしくは国際拠点港湾等と、高速自動車国道または重要都市間を結ぶ路線とを連絡する道路」も含まれているのです。

　こうした国道の定義には、路線の長さに関する規定がありません。そのためたとえ短い距離であっても、要件を満たし政令指定されれば法的に国道となり得ます。その代表的な例が、兵庫県神戸市中央区にある国道174号なのです。

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　実際に神戸港を訪れました。周辺には観光地ハーバーランドなども遠望できます。起点側には神戸三宮フェリーターミナルや歴史的建造物神戸旧税関があり、港町らしい雰囲気です。

　そして、道路脇には目的の標識が。国道の標識、通称おにぎりに「174」の数字。その下には「日本で一番短い国道です」「L=187.1m」と記された補助標識もあり、その短さを公式にアピールしていました。

　起点付近の道路は港湾入口に続く4車線ですが、すぐに第3突堤交差点を越えます。そこから税関本庁前交差点までの約100m弱は終点方面4車線・起点方面1車線の計5車線に。

　さらに税関本庁前から終点の税関前交差点までは、片側5ないし6車線ずつの計11車線という非常に広い道幅に変わります。これは港と陸を結ぶ物流を円滑にするためでしょう。大型トラックの往来も多く見られました。

　そんな広い道路を歩くことほんの数分、体感では3、4分ほどで終点の税関前交差点に到着。ここは大阪と北九州を結ぶ大動脈、国道2号との交差点です。周辺は三ノ宮駅にも近く、商業施設が集まる賑やかなエリアです。

　実際に歩いてみて、そのあまりの短さには改めて驚かされました。しかし同時に、この短い区間が果たしている重要な役割も実感できました。国際貿易港である神戸港と、全国的な幹線道路網である国道2号を確かに結びつけているのです。