1000馬力超え! スバル「“4WD”スーパーカー」がスゴイ! ヤマハ製「パワトレ」搭載&「スゴイ全輪制御技術」搭載! “最速級“目指す「STI E-RA」とは
スバルとSTIが2022年に発表した近未来モータースポーツEVのコンセプトカー「STI E-RAコンセプト」。1000馬力を超えるパワーを秘めたスーパーマシン開発にはある目的がありました。それはどんなことなのでしょうか。
ニュルブルクリンク北コースを400秒で走りきれ!
スバルは、モータースポーツブランド「STI(スバルテクニカインターナショナル)より、2022年開催の「東京オートサロン2022」で、近未来モータースポーツEVのコンセプトカー「STI E-RAコンセプト」を初公開しました。
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STIは、地球温暖化が叫ばれ、カーボンニュートラルが求められる時代においても、モータースポーツの新しい技術の経験と修練を積むことを目的とした「STI近未来モータースポーツ スタディプロジェクト “STI E-RA CHALLENGE PROJECT”」を立ち上げており、STI E-RAコンセプトは、まさにそのプロジェクトの元、開発が進められました。

レーシングカーそのもののフォルムを持つSTI E-RAコンセプトが目指すのは、ニュルブルクリンク北コースでの記録「400秒(6分40秒)」への挑戦です。
2025年現在、公道走行できる量産市販車(サーキット専用改造車含む)では、メルセデスAMGのハイパーカー「ONE」の389秒(6分29秒)が最速。以下、ポルシェ「911 GT2 RS」の398秒(6分38秒)、マクラーレン「P1 LM」の403秒(6分43秒)と続きます。
このそうそうたる車種からわかるように、400秒とは、世界最高峰レベルの走行性能のクルマでしか到達できない領域なのです。
それに挑むE-RAコンセプトのEはエレクトリックを、そしてRAはRecord attempt=速度記録を意味しています。スバルでは「レガシイ」「インプレッサWRX」「WRX」などのモータースポーツ参戦モデルやSTI のコンプリートモデルに「RA」を与えており、RAとはスバルとSTIにとって特別なネーミングといえます。
北コース400秒に挑むべく、ヤマハ発動機と共同開発したモーターはシステム最大で800kW(1088PS)というハイパワーを誇ります。「走りの愉しさ」「絶対的な安心感」という普遍的なSUBARUらしさをSTIがさらに際立たせるべく、これまでスバルが培った「全輪制御技術」の知見を最大限に活用。独自の4モーター4輪トルクベクタリング技術でそれを制御します。
トルクベクタリングシステムにより、4輪それぞれのグリップレベルを最大限に引き上げ、かつ車体の姿勢を安定。各車輪に備えたダイレクトにモーターで高い応答性を実現するとともに車体のヨーを直接的にコントロールできるため、車両の運動性能を最大化できるとSTIは説明しています。
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ところでスバルは、「記録」に古くからから挑戦しているメーカーです。まず思い出させるのが1989年、FIA(世界自動車連盟)公認の「10万キロ世界速度記録」へのチャレンジでした。
発売を控えた初代「レガシイ」が、連続19日間・447時間44分・平均速度223.345km/hで10万キロを走りきって、それまで記録を保持していたサーブ「9000ターボ」の平均時速213.299km/hを突破。2つの世界記録と13の国際記録を更新しました。
続く1993年には、2代目の「レガシィツーリングワゴン」が FIA世界速度記録に挑戦。ステーションワゴンとしては過去最速の249.981km/hをマークしました。さらに1998年には、3代目「レガシィツーリングワゴン」で記録を270.532Km/hに伸ばしています。
そのほかにも、1996年に初代「フォレスター」によるフォレスター が24時間世界速度記録を達成、2017年には専用にチューンされた「WRX STI」が、ニュルブルクリンクサーキット(北コース)で4ドアセダンの最速記録となる6分57秒5を記録しています。
クルマが電動化・自動化が進む中でも、クルマを操る楽しさやモータースポーツが発展することを願い、「RA」の伝統も背負って開発されたSTI E-RAコンセプト。
2025年3月現在、実際に走行したというニュースは届いていないものの、開発は継続していると思われます。今後の続報を待ちたいと思います。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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