東京の謎道路名「三ツ目通り」「四ツ目通り」って何だ!? 妖怪でも適当でもない「納得の由来」とは 江東区の“大動脈”にまつわる不思議
謎の「数字名称」の理由とは
本題であるこの「どこか無機質な名前」の由来ですが、首都高小松川線の下を流れる「竪川」に架かる橋の名前から取られています。

三ツ目通りは「三之橋」、四ツ目通りは「四之橋」を渡ります。もともとは「三ツ目橋」「四ツ目橋」という名前であり、それが道路名称へ採用されました。
竪川は江戸幕府成立から間もない時期に、交通網としての運河整備で誕生しました。まだ陸地と海の境目があいまいなグズグズの開拓地で、とりあえず交通手段として先行で成立したのが水運だった時期です。
当初から近代的な合理的まちづくりが進められ、縦横碁盤の目で交通網が発達したほか、そこに架かる橋の名前も、いかにも合理的な「下流側から順番に数字を割り振る」という方法で命名されていきました。
竪川でも、隅田川合流点から数えて3つ目、4つ目の橋が、それぞれ「三ツ目橋」「四ツ目橋」とされたのです。
同様の事例は、渋谷川を経て麻布エリアを東進する「古川」の橋にも名残があります。同じく水運用の運河として整備され、金杉橋から西進したあと、麻布の高台にぶつかったところに「一之橋」が架けられ、運河は南へ回り込んでいき「二之橋」「三之橋」…と橋が命名されていきました。
今でも首都高「一ノ橋JCT」のほか、交差点名やバス停名で「二の橋」「三の橋」「四の橋」など、今でも知名度を発揮しています。
ところで江東区の話に戻ると、都ではなく区が独自に付けた道路名称でも、竪川の「一之橋」に架かる道路は「一之橋通り」となっています。
いっぽうで都は、「二之橋」を渡る道路は「清澄通り」、「五之橋」を渡る道路は「明治通り」と命名しています。特に明治通りは渋谷・新宿・池袋からぐるっと回ってくる環状路線のため、ローカルな橋の名前を採用しなかったのかもしれません。
由緒ある地名を「妖怪」だの「適当」だの、歴史を知らずして失礼な言い方だと思います。それに四ツ目の代表格の「方相氏」は、疫鬼を退散させる鬼神と言われてます。