「見たことない!」 激レア“本格SUV”「イネオス グレナディア」ってどんなクルマ? ついに日本登場した「カクカクSUV」の実力は?
イネオス「グレナディア」というクルマをおご存知でしょうか。英国の多国籍企業「イネオス」グループが展開する同車は、日本での正規販売がないレアなクルマですが、神奈川県のカスタムカーショップ「ザ・チェックショップ」が並行輸入を試み、日本に持ってきました。どのようなクルマなのでしょうか。
イネオス「グレナディア」って?
ここ数年、日本で活況となっているクルマのカテゴリーといえば“クロスカントリー4WD”です。いまやスズキ「ジムニー」シリーズやトヨタ「ランドクルーザー」シリーズは人気が高すぎて、納期が非常に長くなっています。
その人気の要因のひとつとなっているのは、機能性を反映したスクエアなボディ形状です。空力性能を考慮した複雑な線と面の構成のボディフォルムが定番となっているSUVとは対称的に、ただオフロードでの車体の見切りのみを追求した形状は、現代のユーザーに新しい価値を感じさせています。

こうした前時代的なデザインが好まれるのは世界的な傾向で、ランドローバー社の本拠地であるイギリスでも同様のようです。
ランドローバーと言えば、未だ人気が高いのが旧型「ディフェンダー」です。「ランドローバーシリーズI」から歴代続いたDNAを受け継ぎ、クロスカントリー4WDの身上であるラダーフレーム構造+リジッドアクスル式サス、ランドローバーならではのアルミボディを採用。『ランディ』の愛称で、世界中から愛されてきました。
しかし、2016年1月に最後の1台が生産されて(記念モデルを除く)、その栄光の歴史に終止符を打ちます。
そして2020年からその跡を継いだ2代目モデルは、アルミモノコックボディと4輪独立懸架式サスを採用したことで、世界のクロスカントリー4WDファンを落胆させました。
そんなガッカリ組のひとりが、今回紹介するイネオス「グレナディア」を誕生させた、英国のジム・ラトクリフ氏です。
ラトクリフ氏は英国の多国籍企業「イネオス」グループのトップであり、同時に世界を股にかける探検家でもあります。
グレートブリテンの象徴たる旧型ディフェンダーの生産終了を惜しみ、2017年にイネオスオートモーティブを設立。そして製造を開始したのが、今回紹介する「グレナディア」です。
“擲弾兵”を意味する車名のそのモデルは、ネーミングだけでなく、中身も挑戦的です。まず外観ですが、旧型ディフェンダーとメルセデスベンツ「Gクラス」を融合させたようなデザインになっています。
ただし、両モデルが1枚ドアのリアゲートを採用しているのに対して、グレナディアは「ランドクルーザー70」のような観音開きになっており実用的。
ボディはスチール製ですが、ボンネットはアルミ製。それを開けると、BMW製直烈6気筒のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが収まっています。ちなみに今回取材した車両はディーゼルエンジン。エンジンカバーには、さりげなくBMWの文字が刻まれていました。
パワートレーンはZF製8速オートマティックトランスミッション、そしてマグナシュタイア(旧プフシュタイア)が開発したサブトランスファー付きフルタイム4WDシステム。マグナシュタイアは「ゲレンヴァーゲン」時代からGクラスを開発・製造してきたオーストリアのメーカーであり、グレナディアにもGクラスのノウハウが活かされていると考えていいでしょう。
ちなみに今回のスタンダードモデルは、前後デフロックがオプションとなっていますが、「トレイルマスター」や「フィールドマスター」といった仕様では標準装備となります。
ボディには、オフロードでのダメージを避ける各種プロテクションが多用されています。プロテクションには、オプションが装着できる拡張性もあるようですが、カタログを見てもグロメットの用途は不明でした。
さらに旧型ディフェンダーでは窓があったルーフサイドにもバーが標準で装備されており、ここにもキャリアやロトパックスキャリアなどのオプションが付けられるようです。
サスペンションは前後とも、5リンクのコイルリジッドサスペンション。ガッチリと前後アンダーを覆うガードの隙間を覗き込んでみると、意外にも細いホーシングが見えました。
バネ下の重さをできるだけ軽くすることで、脚の動きを良くしたいという開発意図があるのかもしれません。ステアリングダンパーの位置もよく考えられており、このクルマがとにかくオフロード走行を主眼して造られていることがよく理解できます。
圧巻なのは、運転席回りです。264mmもある最低地上高のフロアによじ登ると、中はまるで航空機のコックピット。オーバーヘッドコンソールと合わせると、多数のスイッチ類がズラリと並んでいます。初見では、どのように使うのかほぼ理解できません。
また旧型ディフェンダーのようなアナログメーターは一切なく、車両情報はすべて中央にある大型モニターに表示されます。
モニターのインターフェイスはBMWタイプのロータリースイッチで、計器類の変更、AV関連の操作などすべてをこれで行います。インパネのスイッチもですが、取説を読まないと機能が理解できないものが多いのですが、オフロードに関するものが多いのは確かなようです。
グレナディアの特徴は、その多くがオフロード向きに造られていることで、ABSやEPSといったデバイスでさえも、オフロード向きのセッティングになっているといいます。
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