ヤマハが電動バイクで世界最高峰のレースに挑戦 EVの将来にも期待
「ガソリン車にも引けをとらない性能」
開発を担当したヤマハの豊田剛士さん(写真右)によると「ガソリン車にも引けをとらない性能を果たしています」。また同じく開発担当の伊藤仁さん(写真左)は「バッテリーをどこに積むかは、マスの集中を考えて決めました」と教えてくれました。
マスの集中。つまり重いものを車体の重心付近に集めることで、運動性能を高めることにつながります。バッテリーはカーボン製の車体(モノコックフレーム)の中に収まっていて見えませんが、エンジンをモーターにし、燃料タンクやマフラーのない「TY-E」の車体はマスの集中が見るからに達成されていて、その言葉に納得です。
また豊田さんは「制御性に長ける電動マシンは、トライアル競技と相性がいいと思います」と語ってくれました。
たしかに筆者(青木タカオ)が乗ったことのあるいくつかの電動バイクは、モーター駆動という特性上いずれも低速域での加速が鋭く、そして電子制御によって緻密にトルク特性をコントロールしやすく、トライアル競技にはうってつけだと同感できます。
豊田さん、伊藤さんをはじめヤマハの開発陣は、さまざまなモビリティにEV技術を活かすことを考えており、この「TY-E」もその一環としてのもの。ヤマハの世界最高峰への挑戦、応援せずにはいられません。
【了】
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。