トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?

トヨタ「ヤリス」には「ヤリスクロス」といったSUVタイプの派生モデルが登場していますが、前身モデルである「ヴィッツ」にも、同車をベースとしたSUV風のモデルが存在していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。

ヤリスクロスの先祖モデル!? ヴィッツベースのSUV風モデルとは?

 トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」は、1999年から2020年まで長い期間販売されていた看板モデルの1つです。
 
 現在の日本市場では「ヤリス」に名称を変え、「ヤリスクロス」といったSUVタイプの派生モデルが登場していますが、同様にヴィッツをベースとしたSUV風のモデルがかつて存在していました。
 
 一体どのようなクルマなのでしょうか。

元祖「ヤリスクロス」!? ヴィッツベースのSUV風モデルとは?
元祖「ヤリスクロス」!? ヴィッツベースのSUV風モデルとは?

 そのクルマとは、2002年から2016年にわたり販売されていた「ist(イスト)」です。

 同車はトヨタが「for your 1st」というテーマのもと、2002年に発売した5ドアハッチバックのコンパクトカーです。

 初代ヴィッツをベースに、5ドアハッチバックのクロスオーバーSUV風ボディを採用しているのが特徴です。

 ボディサイズは全長3855mm×全幅1695mm×全高1530mm-1535mmと、初代ヴィッツ(全長3610-3660mm×全幅16660mm×全高1500mm-1510mm)と比べてひと回り大きくなっています。

 これにより、初代ヴィッツよりも広い室内空間を確保し、快適性を高めることに成功。

 また、フロントマスクにはヴィッツの面影を若干残しているものの、全体的なデザインはシャープなものになっており、張り出したフェンダーもスタイリッシュさを引き上げているポイントです。

 エンジンは最高出力87ps・最大トルク121Nmの1.3リッターエンジン(2NZ-FE型)と、最高出力109ps・最大トルク141Nmの1.5リッターエンジン(1NZ-FE型)の2つがあり、これにトランスミッションは4速ATが組み合わされました。

 そんなistはファミリー層を中心にヒット。

 くわえてマイナーチェンジにより、スポーティな味付けのモデルを追加したことで、若い世代からの支持を得ることにも成功し、最終的に約37万台の販売台数を記録しました。

 その後、2007年には2代目ヴィッツをベースとする2代目istが登場します。

 ボディサイズが全長3930mm×全幅1725mm×全高1525mm-1540mmと、初代istよりも大きくなっており、特に幅が1700mmを超えたことで、5ナンバーから3ナンバーへと切り替わりました。

 初代と同じく、2BOXとSUVの融合がコンセプトのエクステリアは、全体的に丸みを帯びた、近未来感のあるデザインに進化。

 特に大きな2段の開口部を設けたフロントグリルは、2代目istの特徴でした。

 エンジンは1.3リッターエンジンが廃止され、1.5リッターエンジンと最高出力132ps・最大トルク172Nmの1.8リッターエンジン(2ZR-FE型)の2種類に変更。

 特に後者は、初代と比べて車重が増したボディを快適に走らせました。

 ヒットした初代の跡を受けてデビューした2代目istですが、3ナンバーへと大型化したことが災いしたのか、売れ行きは伸びず。

 また当時、2008年にはホンダがコンパクトミニバン「フリード」を発売するなど、5ドアコンパクトカーに魅力的なライバルが増えたことも、販売に影響しました。

 最終的に2016年まで販売は継続されるものの売れ行きは好転せず、同年4月で生産終了となってしまいました。

 最上のコンパクトカーを目指して生み出されたistは、初代がヒットするも、2代目が苦戦したことで市場から消滅してしまったモデルです。

 デザインやインテリアの評価は悪くなかっただけに、やはり3ナンバー化がマイナスだったのかもしれません。

【画像】「えぇぇぇぇッ!」 これが「ヴィッツSUV」です!(26枚)

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Writer: 大西トタン@dcp

(株)デジタル・コンテンツ・パブリッシング所属の編集者・ライター。幼少期に父親と一緒に灯油でエンジンのプラグを磨いたのをきっかけに車好きになる。学生時代はレーサーを目指しカートに挑むも挫折。現在は磨いた腕と知識を武器に自動車関係の記事をメインに執筆。趣味は週末に愛車フリードでのグルメ自販機巡り。

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