走りが凄い! 三菱「エクリプス・クロス」ライバルより圧倒的な安定感
三菱が得意とする「S-AWC」で走りがピカイチ
筆者がもっとも感動したのは、操縦安定性です。ハンドルを切り込んだ瞬間のフィーリングであり、コーナーを旋回している時の安定感がライバルのモデルよりも圧倒的に優っているのです。
その鍵を握っているのは、三菱がもっとも得意とする「S-AWC」にあることは容易に想像できます。
4輪駆動制御技術とは、その名のとおり、路面に接している4つのタイヤに、それぞれ適切にエンジンパワーを与えたり抑えたりする技術のことです。
普通の2WD車は、エンジンが発した力をただどこかの2輪に伝えるだけで走ります。ですが三菱のその技術は感動するほど高度なもので、4輪バラバラに加速することができるばかりか、4輪バラバラに減速させることも可能なのです。
これによって、曲がりたい時には曲がりたいように、制御してくれるのです。
「旋回時には、外側のタイヤにエンジンパワーを強め与えますからスムースです」
新型エクリプス・クロスの開発陣が言うように、実際に走らせてみると、ハンドルを切り込んだ瞬間に、気持ちよくコーナリングが始まります。その感覚は独特です。
タイヤの性能に頼って、無理やりコーナリングを開始する不自然な動きはありません。カーブを曲がっている最中、さらに強く曲がりたいと思った時などでも、グイグイと反応してくれるのです。この辺りはS-AWCの面目躍如といったところですね。
SUVというクルマは車高が高いので、カーブを曲がるのは苦手とされています。ですが、新型エクリプス・クロスにはそんな公式はあてはまりません。
「スタビリティにも貢献しますよ」
曲がることだけではなく、曲がりすぎないことにも威力を発揮します。スピンしそうになったら、コーナリング中とは逆の制御をします。それによって、危険な状況に陥りづらいのです。リアタイヤ付近がしっとりと安定して感じられるのはそれが理由です。
三菱復活の一打である新型エクリプス・クロスは、必ず売れると思います。スタイリングも洗練されていますし、やはり走りがいいのが特徴だと思います。
筆者はしばらく、新型エクリプス・クロスを注目することにします。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。