6000万円超え! いすゞ新型「“精悍” エルガEV」がスゴい! 70人乗りで画期的な「段差ゼロ」&340馬力の“静音ユニット”搭載! どんなバス?

待望の国産フルフラットノンステップバス「エルガEV」は、国産初のフルフラットタイプとして大きな注目を集めています。国産バスおよび「エルガ」のノンステップバスの歴史に触れつつ、その理由を探ります。

いよいよ量産を開始したEVバスの「エルガEV」 何がすごい?

 重要な公共交通の担い手である路線バスもEV化が進んでおり、日本のさまざまな地域で活躍を開始していますが、現状では中国のBYD製EVバスが300台以上納入され、シェア8割を誇っているほか、2024年7月には韓国の現代(ヒョンデ)も参入を発表しています。
 
 しかし日本も負けてはいられません。そんななか、いすゞの新型路線バス「エルガEV」に注目が集まっています。

国内初のBEVフルフラットノンステ「エルガEV」
国内初のBEVフルフラットノンステ「エルガEV」

 国内大手のトラック・バスメーカーのいすゞは、2023年秋に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」でERGA EV(エルガ EV)を初公開。

 2024年5月から「都市型モデル」の発売を開始し、同年11月には、車両を委託製造しているジェイ・バス宇都宮工場にて量産をスタートしました。

 エルガEV都市型モデルの型式は「ZAC-LV828L1」で、販売価格は消費税込みで約6500万円。年間150台の販売を見込んでいます。

 エルガは2000年に登場したいすゞの路線・自家用大型バス。真四角の車体で広い車内を実現しつつ、カドを丸めてソフトな印象を持つエクステリアは、誕生以来25年近くが過ぎた現在でも古さを感じさせません。

 乗降にステップを介する、従来の「ワンステップ」タイプや「ツーステップ」タイプも用意されていましたが、主力をノンステップタイプとしたことで、路線バスのノンステップ化・バリアフリー化に大きく貢献しました。

 2015年にはモデルチェンジして2代目に進化しました。

 その際、ワンステップタイプ・ツーステップタイプを廃止。ホイールベースを延長してノンステップエリアを拡大したほか、全高を上げて車内高もアップしています。中型路線用の「エルガミオ」とともに、日本各地の地域輸送を支えています。

 ハイブリッドシステムを搭載した「エルガハイブリッド」も2012年に発売。現在では、日野のハイブリッドバス「ブルーリボンハイブリッド」と車種を統合した2代目エルガハイブリッドが供給されています。

 そんなエルガをベースに誕生したエルガEVは、総電力量245.3kWhを誇るモジュール方式の高電圧リチウムイオンバッテリーをルーフ前部とリアに分散配置。

 一充電の走行距離は360km(30km/h一定速、国土交通省届出値)で、モーターは後輪左右にひとつずつインホイール式で搭載。最高出力は2機の合計で250kW(340馬力)を発生します。

 また、実はエルガEVは単にバスをEV化しただけでなく、「フルフラットノンステップバス」として誕生したこともポイントです。

 それを可能としたのは、まさにEV化の恩恵でした。内燃機関の大型路線バスは大排気量エンジン・補機類を車体後端に積むため、そのスペースを確保することが必須ですが、EVバスではそれらが一切不要に。

 そして後輪に駆動力を伝えるリアアクスル機構も必要がないため、左右後輪間のフラットフロア化を実現しました。

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