大排気量「V6」×MR! 斬新「和製スーパーカー」がスゴイ! 全幅2m超え&「ヘビ顔」採用の“超激レア”モデル「オロチ」とは
国内10社目の自動車メーカー「ミツオカ」はかつて、和製スーパーカー「オロチ」を販売していました。どのようなクルマだったのでしょうか。
純国産車にこだわり、日本国内での型式取得を目指した「Orochi」(オロチ)
2001年の第35回東京モーターショー初出展の際にコンセプトモデルとして参考出品し、大きな反響の末に市販化が決定した、光岡「Orochi(以下オロチ)」。
設計開発に費やした時間は実に5年と、安全性、環境対策などの厳しい法基準の中での自動車開発は小さな乗用車メーカーにとって究極の試練だった。
乗用車では1996年のミツオカ「Zero1」以来の型式認定車となったオロチは、2006年10月に市販モデルを発表し、2007年4月より発売が開始されている。
「本能の誘惑、煩悩の悦楽」をコンセプトに、このオロチというネーミングは、日本神話に登場する巨大な蛇の怪物「八岐大蛇」(ヤマタノオロチ)に由来するものだ。このネーミング通り、ボディデザインは流線型で、蛇を思わせるような独特なフォルムが特徴となっている。
特にフロントのヘッドライトやボディのラインが蛇の鱗や目を彷彿とさせ、獲物を見据えた眼光を表現している。非常にエキゾチックで攻撃的な印象を与え、オロチはヘッドライト中央に縦のアイラインをあしらい、まるで地を這うようなワイド&ローのプロポーションと大胆に描いた曲線が織り成す造形が施されている。
有機的な曲線を描くボディシルエットが特徴的なこのデザインは、かなり好みが分かれるところであろう。一つ一つを手作りで組み上げるクラフトマンの技が息づいており、生命体にしか持ち得ない強靭な機能美を表現しているのである。
車体サイズは、全長4560 mm×全幅2035 mm×全高1180 mmと、ワイド&ローなプロポーションを有している。車重は1580kg。
シャシー自体は他社製の流用ではなく、自社で開発されており、レクサス「RX」用のパワートレイン(3.3リッターV型6気筒エンジン)が搭載され、最高出力233馬力、最大トルク328Nmを発生させる。
組み合わされるトランスミッションは5速ATとなっており、MTを搭載したモデルは存在しない。
オロチは、むしろそのデザインと独特の美的感覚を前面に押し出しており、パフォーマンスそのものよりも、ビジュアルのインパクトや所有することの喜びに重きを置いた車なのではないだろうか。
まるでアート作品の「オロチ」
光岡は、オロチを単なる高性能車ではなく、アートの一形態として位置づけているようだ。他の自動車メーカーとは異なり、クルマを単なる移動手段ではなく、所有者の個性や感性を表現するものとして捉えているに違いない。この点が、光岡自動車の他のモデルやコンセプトにも通じる独特の哲学なのだろう。
そのユニークなデザインや希少性から、一部のカーマニアやコレクターには高く評価されているものの、一般の自動車マーケットではその特殊な外見やパフォーマンスに対する賛否は分かれている。スーパーカー市場においては異色の存在と言っていいだろう。
また、以下のような特別仕様車や限定モデルも存在しており、これらはさらに限定的な生産数となっている。
・外装がゴールドメタリックの「オロチゴールドプレミアム」
・光岡の創業45周年を記念した限定5台の「オロチ“零“(ゼロ)」
・エヴァンゲリオンとのコラボモデル「オロチエヴァンゲリオン」
・オロチの生産終了にあたっての限定5台の「オロチファイナルエディション」
・ラグジュアリーを追求した限定モデル「オロチドゥーロ」
オロチは2007年から2014年まで生産されたが、非常に限定された数しか生産されておらず、希少価値は高い。量産車メーカーではない光岡では、全てハンドメイドで製作されている。
なお日本での個体もほとんど確認できないオロチだが、2023年11月には、イギリスのオークションサイト「Collecting Cars」において、約620万円という価格で取引されていた。
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