時速194キロの「死亡事故」は「危険運転致死」認定で懲役8年判決!一方で「適用要件があいまい」指摘の声も… 法務省が法改正を検討か

大分県大分市の県道を時速194キロで走行し死亡事故を起こしたとして、危険運転致死罪に問われている当時19歳の被告への初公判が11月5日、大分地方裁判所で開かれました。そして同月28日の判決で大分地方裁判所は「危険運転致死」が成立するとして、懲役8年の判決を言い渡しています。

 2021年2月に大分県大分市の県道を時速194キロで走行し死亡事故を起こしたとして、危険運転致死罪に問われている当時19歳の被告の初公判が11月5日、大分地方裁判所で開かれました。

 そして同月28日の判決で大分地方裁判所は「危険運転致死」が成立するとして、懲役8年の判決を言い渡しました。

時速194キロという猛スピードによる事故が「危険運転」と判断されるのか、その行方に注目が集まっていた(画像はイメージ/フォトAC)
時速194キロという猛スピードによる事故が「危険運転」と判断されるのか、その行方に注目が集まっていた(画像はイメージ/フォトAC)

 これは2021年2月に大分県大分市の県道を時速194キロで走行し死亡事故を起こしたとして、危険運転致死罪に問われている当時19歳の被告の初公判が2024年11月5日に大分地方裁判所で開かれていました。

 この事故は、法定速度が時速60キロの県道を被告がその3倍を超える134キロオーバーの時速194キロで走行した上、交差点内を右折してきたクルマと衝突して、運転をしていた当時50歳の男性を死亡させたものです。

 検察は当初、被告を過失運転致死罪で在宅起訴していました。

 しかし、男性の遺族から厳罰を求める2万8000人あまりの署名が提出されたことを受けて再捜査。2022年12月に起訴内容を危険運転致死罪へ変更しています。

 なお裁判では被告の高速度による運転が「過失運転」と「危険運転」のどちらに該当するのかが焦点となっていました。

 過失運転致死罪が最大7年の懲役刑なのに対し、危険運転致死罪は最大20年の懲役刑と罰則が異なっています。

 なお危険運転致死傷罪に関しては「自動車運転処罰法 第2条」に次のように規定されています。

ーーー
●アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
●進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
●進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為(無免許運転など)
●他の人や車両を妨害するような運転行為(割込み、幅寄せなど)
●信号を殊更に無視し、なおかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
●通行禁止道路を進行し、なおかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
ーーー

 今回の事故では時速194キロで走行したことが前述の「進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」に当たるかどうかがポイントとなっていました。

 そしてこの裁判員裁判は11月5日を含め6回にわたって審理され、11月15日に結審、そして28日に前述の通り判決が言い渡されたのです。

※ ※ ※

 危険運転致死傷罪に関しては「適用要件があいまい」という指摘が以前からされていました。

 それを受けて法務省はこれまで有識者検討会において議論を重ね、2024年11月13日に第10回会議が開催されています。

 そこでは「危険運転致死傷罪に関する報告書の素案」が出されており、今後はその内容をふまえて法改正の必要性を法務省がなどが議論していくことになります。

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