全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは

かつてトヨタには、日常の移動に非常に便利なサイズの手軽なモデルが販売されていました。

コンパクトサイズにミニマムな機能を凝縮! 画期的だったものの…

 過疎化や高齢化などにより地方ではバス路線の廃止が相次ぐなか、近距離を安全かつ安心して乗ることができる次世代の小型モビリティが求められています。
 
 そんななか、実はトヨタにはこうしたニーズに当てはまる2人乗り車「C+pod(以下シーポッド)」が販売されていました。一体どのようなモデルなのでしょうか。

新たな移動手段として期待された「シーポッド」
新たな移動手段として期待された「シーポッド」

 シーポッドは2020年12月に登場しました。改正道路交通法(2023年4月施行)では「移動用小型車」に分類されるクルマです。

 軽自動車よりも小さいボディを持ち、免許取り立ての若年層や運転が不安な高齢者などをターゲットとし、日常生活で少人数かつ近距離の移動が多いユーザーに向けたモビリティだといいます。

 ボディサイズは全長2490mm×全幅1290mm×全高1550mm。非常に小さな車体により、最小回転半径は3.9mを実現。これは片側1車線の道路で1度の切り返しでUターンできるもので、狭い道や小さな車庫でもラクに取り回しできるサイズです。

 パワートレインは最大出力12.5馬力・最大トルク56Nmを発揮するリアモーターと51Ahリチウムイオンバッテリーを搭載。バッテリーはシートの足元に配置することで、段差が少なく乗り降りのしやすい低床フロアを実現。

 一充電走行距離は150kmを確保しています(WLTCモード)。小型のバッテリーながらも、通勤や買い物の往復などでは十分ともいえる航続距離を実現しました。なお、最高速度は60km/h以下に制限され、高速道路の走行はできません。

 充電は200V普通充電の場合、約5時間で完了。通常の100V電源にも対応しています。

 さらに、1500Wのコンセントの装備や外部給電システムの採用により、災害時には外部電源として活用できる機能性も持ち合わせています。

 エクステリアは外板に軽量な樹脂パネルを多用しました。キャビンはブラックアウトさせ、大型LEDヘッドランプ・テールランプなどを備えたことで、小型ながらも見た目の安定感と塊感を感じさせるスタイリングとしています。

 インテリアは、室内幅を1100mmとコンパクトに抑えながら大人2人が並んで座れる空間を実現。インパネ中央はメーターや各種スイッチを集中配置し、操作性を高めたほか、助手席オープントレイやカップホルダー2個を装備するなど利便性も確保しています。

 ラゲッジルームは長さ335mm×幅619mm×高さ767mm。日常生活では必要十分な容量を備えました。

 機能面では高効率のクーラーや快適温熱シート(シートヒーター)も装備し、航続可能距離を減らさず、快適性能も追求されています。

 また、高齢者などが安全に運転できるように先進機能は高められているのもシーポッドの特徴で、プリクラッシュセーフティやパーキングサポートブレーキのほか、両席エアバッグやABS、ELR付きシートベルトを装備し、高レベルの安全性能を追求。

 そんなシーポッドですが、当初は法人ユーザーや自治体などを対象に限定販売のみの展開でしたが、最終的には全国のトヨタ販売店やトヨタレンタリース店でも取り扱うようになっていました。

 価格は166万5000円から173万1000円で、国の施策によるCEV補助金や自治体独自で補助金の対象であれば、実質的に100万円台前半で購入できました。なお法人向けモデルとして簡素な1人乗り仕様も設定されていました。

※ ※ ※

 地方だけでなく離島内など、限られた範囲での移動には最低ともいえるミニマムさが魅力のシーポッドでしたが、2024年夏に生産を終了。後継モデルについてトヨタのアナウンスはありません。

 しかし、安全性が高く、手頃な価格で必要十分な性能を持つ最新の小型モビリティは、地方の移動課題の解決には大変有効なソリューションになりうることから、シーポッドの後継車についても待たれるところです。

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