2人乗りのみ! ダイハツに斬新「スライドドア付き軽バン」あった! 新車140万円以下で「リアシート」なし! 超割り切ったシンプルバン「キャディー」とは

両側スライドドアを持つのに、乗車定員が2名というモデルがダイハツに存在しました。一体どのようなクルマなのでしょうか。

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 2シーターの車両というと、本格的なスポーツモデルやオープンモデルをイメージする人がほとんどでしょう。しかし、中にはしっかりとリアドアを持ちながらもフロントシートのみの2人乗りというモデルが存在します。
 
 そんな変わり種のクルマのひとつが、ダイハツが2016年から販売していた「ハイゼットキャディー」というモデルです。

時代を先取りした「ハイゼットキャディー」
時代を先取りした「ハイゼットキャディー」

 ハイゼットキャディーはその名称から分かるように、ダイハツの商用モデルである「ハイゼット」シリーズの一車種ということで展開されました。

 しかし実際には、フロントシート下にエンジンを搭載し、後輪を駆動するセミキャブオーバータイプの「ハイゼットカーゴ」や「ハイゼットトラック」とは大きく異なり、フロントにエンジンを搭載し、前輪を駆動するFFレイアウトを採用しています。

 ボディ形状は両側スライドドアを備えた5ドアで、フロントシート後方からはすべてフラットな荷室フロアを確保。これをオール樹脂製とすることで、濡れたものを積んだり汚れたりしてもサッと拭き取りができるようになっていました。

 またFFレイアウトということでハイゼットを上回る荷室高を誇っていたほか、フロア下にも収納スペースが備わっており、助手席後方アンダートランクや、90リッターという大容量で2リッターペットボトルも収納可能な深さを持つラゲージアンダートランクを備える点も特徴となっています。

 パワートレインは38kW(52PS)のNAエンジンのほか、47kW(64PS)を発生するターボエンジンを搭載するグレードも用意。トランスミッションをCVTとすることで、25.0km/L(「D」グレードのJC08モード燃費)という低燃費も併せ持っていたのです。

 さらに先進安全装備として「スマートアシスト(デビュー時はスマアシII、2017年11月からはスマアシIII)」搭載グレードも用意され、ボディカラーも「選べるカラーパック」というオプションとして、オレンジやピンクといった商用車らしくないものが選べるようになっていました。

 さて、このハイゼットキャディーの正体は、そのスタイルからもお気づきの方も多いかもしれませんが、スーパーハイト軽ワゴンとして2014年に登場した「ウェイク」をベースとしたモデル。

 運転席からの見た目は加飾が省かれ、オートエアコンがマニュアルエアコンになるなどの変更はあったものの、インテリアはほぼウェイク同等。

 乗り心地も一般的な商用車のそれとは異なり、フロントシートも乗用車譲りの快適なもの(一応足回りは商用モデル向けにリセッティングされていた)を装着。

 価格はターボモデルでも130万円台という低価格でヒットの予感を感じさせるものでした。

 しかし実際にフタを開けてみると販売は低迷し、終売する2021年9月までの5年ほどの販売期間で6730台しか販売されなかったのです。

 これは商用モデルであるにもかかわらず、最大積載量が150kgと小さかったことや、いざというときでも人を乗せることができない完全2シーターのみのラインナップだったことが影響していると考えられます。

 さらに2018年には、同じく乗用車の「N-BOX」のコンポーネンツを流用しつつ、格納可能な助手席とリアシート、加えてピラーレスの大開口ドアを備えたホンダ「N-VAN」が登場したことにより、トドメをさされた形となってしまいました。

 そんな不遇なハイゼットキャディーですが、近年はそのキャラクターが見直されてきたのか、中古車市場で状態のよいものはなかなかの高値安定。もしかしたら時代を先取りし過ぎたモデルだったのかもしれません。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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