「最悪…!」 事故の相手が「無保険」どうする? 泣き寝入り確定か?とるべき対策とは? 保険証未所持でも罰金30万円!?

SNS上ではたびたび「信号待ちで追突されたけど相手が無保険だった」「一時不停止でクルマが突っ込んできて廃車になった。相手は無保険」といった事故報告が投稿されています。

万が一の事故時に使える保険とは?

 交通事故でケガやクルマの破損があったとき、相手の保険会社から治療費や修理代などを支払ってもらうのが一般的ですが、中には無保険のドライバーも存在します。

 ではこのような場合、一体どうすれば良いのでしょうか。

事故は、相手がいるいないに関わらずさまざまな責任や賠償がともなうことも(画像はイメージ)
事故は、相手がいるいないに関わらずさまざまな責任や賠償がともなうことも(画像はイメージ)

 SNS上ではたびたび「信号待ちで追突されたけど相手が無保険だった」「一時不停止でクルマが突っ込んできて廃車になった。相手は無保険」といった事故報告が投稿されています。

 交通事故の加害者が保険に加入していない「無保険」状態というケースは意外にも少なくありません。

 損害保険料率算出機構が公表している「自動車保険の概況 2023年度版」によると、2023年3月末における対人賠償の普及率は88.4%、つまり残りの10%程度は自動車の任意保険に加入していないことが明らかになっています。

 では無保険の相手に衝突されてケガをしたり、クルマが壊れたりする事故が起きた場合には、どのような対応をとれば良いのでしょうか。

 そもそも無保険状態には、1.自賠責保険に加入しているが任意保険に未加入、2.自賠責保険と任意保険のいずれも未加入、という主に2つのケースがあります。

 自賠責保険とは自動車損害賠償保障法によって加入が義務付けられている強制保険のことで、人身事故による死亡・後遺障害・ケガなど対人損害賠償のみを補償します。

 ただしこの補償には限度額があり、被害者1人につき死亡損害は3000万円まで、後遺障害による損害は75万円~4000万円まで、障害による損害は120万円までと決まっています。

 なお自賠責保険に未加入の場合、たとえ事故を起こさなくても運転した場合には「1年以下の懲役または50万円以下」の罰金。

 また、自賠責保険の証明書を所持していなかった場合だけでも30万円以下の罰金が科せられます。

 また自賠責保険に未加入での運転は違反点数6点となり、即座に免許停止処分となります。
 
 その一方、任意保険は対人賠償金のうち自賠責保険の支払い限度額を超えた部分や、自賠責保険では対象とならないクルマの損壊といった対物賠償などに対して支払われる保険です。

 要するに、自賠責保険で補いきれない損害をカバーするイメージといえるでしょう。

 交通事故の加害者が上記1.のように任意保険のみ未加入の場合、まずケガの損害賠償金を加害者が被害者に支払った後、加害者が自分の契約する自賠責保険会社に賠償金分を請求することになります。

 もし加害者から支払いがなければ、被害者側から加害者の自賠責保険会社に対して損害賠償請求をおこなう「被害者請求」をすることも可能です。

 しかし事故の状況によってはケガの補償を自賠責保険でカバーできなかったり、ケガがなくても車両が大きく破損していたりするケースがあります。

 このような場合は加害者に直接治療費やクルマの修理代などを請求し、示談交渉によって賠償額や支払い方法などを決めていきます。

 仮に加害者が損害賠償に応じなければ、内容証明郵便で請求書を送付する、賠償金額が60万以下なら「少額訴訟」・60万円を超える場合は「通常訴訟」を起こすなどの方法があり、裁判で相手に支払い命令が出されることもあります。

 また上記2.のように加害者が自賠責保険と任意保険のいずれにも加入していなかったときは、加害者に対して直接治療費やクルマの修理代などの損害賠償を請求しなければいけません。
 そして加害者側が示談に応じない場合は1と同様、状況に応じて訴訟や裁判などの手段をとります。

 とはいえ、加害者に支払い能力がなければ十分な補償を受けられないことも想定されます。

 ケガの治療であれば健康保険や労災保険を使用して治療費の給付を受けられる可能性があるため、そちらの利用を検討しましょう。

 さらに健康保険や労災保険などの給付を差し引いた上でもなお損害が残る場合には、政府がその損害を補てんする「政府保障事業」を利用できるケースもあります。

 いずれにせよ必要な書類の用意や手続きなどは複雑であるため、事故の際には弁護士をはじめ専門家へ相談することが重要といえるでしょう。

 このように事故で相手が無保険の場合は損害賠償の請求が困難になるケースが多いことから、自分が加入する自動車保険で万が一に備えているというドライバーもいます。

 たとえば相手から十分な補償を受けられないときに不足分の保険金が支払われる「無保険車傷害保険」、自分のクルマが壊れたときに保険金額を上限とした補償が受けられる「車両保険
」などがあります。

 加えて車両保険に付ける「無過失事故特約」では、自分に過失がないときに等級を下げずに車両保険を利用できます。

 もちろん加害者から損害賠償金が支払われることが1番ですが、対策のひとつとして検討してみると良いかもしれません。

※ ※ ※

 無保険のドライバーは支払い能力が低く、事故の際に十分な補償を受けられないおそれがあります。

 状況によっては自分の任意保険を利用する可能性もあるため、事前に契約内容を確認しておくことが大切です。

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