逆走すれば「グサッ!」究極の逆走対策「トゲトゲ装置」なぜ実用化しないのか 減らない大事故…委員会も「物理的手段を検討すべき」

逆走事故の決定打!?「物理的阻止」装置とは

 それは、英語圏で「トラフィック・スパイク」などと呼ばれる、路上埋め込み型の装置です。路地の一方通行を無視するクルマを阻止するためのものです。

合流部のボラード。逆走件数がが約8割減少したというデータも(画像:国土交通省)。
合流部のボラード。逆走件数がが約8割減少したというデータも(画像:国土交通省)。

 通称「トゲトゲ」と呼ばれるこの装置は、逆走車に向けて道路いっぱいにトゲを並べています。逆走車がそのまま走ろうとすると、両方のタイヤにそのトゲが刺さり、パンクさせます。いっぽうで正しい方向からクルマが来ると、素直に踏まれて地面に埋め込まれ、また元に戻るという仕組みになっています。

 これを高速道路の出口手前やSA・PAの入口に埋設しておけば、再三の警告を無視して逆走を続ける暴走車を、無理やり停止させることができるのではないか。そんな議論がネット上を中心に起こっています。

 では、肝心の国土交通省はこの「物理的手段」に対して、どう考えているのでしょうか。

 相次ぐ逆走事故をうけ、2015年12月に「高速道路での逆走対策に関する有識者委員会」が発足。これまで7回の会議が開かれ、実証実験と振り返りが行われています。

 その中で、この「トゲトゲ」は、第1回目の議論ですでに登場しています。

 他にも注意喚起看板やハンプなど様々な事例が紹介され、最終的にやるべき試験内容が公募され、取りまとめられました。

 その試験に、「トゲトゲ」はありませんでした。代わりに盛り込まれたのは「路面埋込型ブレード」です。トゲトゲは「刺さる」ものですが、このブレードは単純に「車両に衝撃を与え注意喚起する」だけで、無視してそのまま逆走を強行できるものです。

 しかもこのブレードは、廃止された高速バス停に試験設置されたのみ。その結果「設置前:逆走0件、設置後:逆走0件」と、設置効果がよくわからないまま終わろうとしています。

 委員会発足からすでに7年半が経過し、議論は「いかに逆走車へ有効に注意喚起するか」「いかに周囲に危険を知らせるか」に収束しつつあるなか、一向に逆走案件は減りません。ついに委員の中から「物理的阻止」以下の意見も出るようになりました。

「本線や出口部の逆走に対しては道路上のハード対策が有効である。海外では車両を痛めつけるようなハード対策もあり、そこまででないとしても。何かしらの対策を社会実験として実施できないか」(第6回)

「国内で車両を損傷させ停止させるようなハード対策は難しく、特に本線上のスピードが出ている箇所で実施するべきではないが、逆走が発生した後の重大な事故を考えると、スピードの出ていない箇所での実施は可能性の1つとして考えてもよいのではないか」(第6回)

「公募テーマIにもあるが、逆走車を物理的に制止させるような、ボラードやハンプなど、海外事例を参考に検討してはどうか。海外の事例をそのまま日本に導入はできないと考えられることから、導入にあたっては、国も開発等に関与してはどうか」(第7回)

【画像】逆走を強制阻止!これが海外にある「トゲトゲ装置」です(24枚)

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4件のコメント

  1. 無理だと思う。そんなトラップ使ったらコントロールを失った車が他車に突っ込むとか、トラップが原因で運転手が死んだらどうするんだ?とかの議論に持ち込まれそうです。いつも結論は「誰がその責任を取る?」、それが日本だから。制御は不可能だと思います。

  2. トゲトゲは確かに有効かもしれないが、それは低速走行時のみでないと、逆に事故誘発する危険性もあるんでは?先日発生した東北道の逆走は、事故直前に本線上でUタ-ンし逆走?した。本線上に置きますか?
    提案したいのは逆走車がいる場合、センサ-で感知、中央分離帯から『止まれ』の棒が飛び出すのはどうだろうか?但し、ぶつかっても車体側に損傷無いような工夫付きで。

  3. 日本人は自立してなくて精神が弱いのですぐ人のせいにしがち
    そんな奴らなんでパンク装置なんて付けたら責任問題になる

  4. トゲトゲ賛成です。すべての逆走に対応はできないかもしれませんが、その大部分を占めるであろうIC,SAからの逆走に対処できるかと。逆にNEXCOが有効な手立てを打ち出さないと、危険を知りつつ看過していたということで訴えられるのではと推測しております。

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