日産「シビック」やホンダ「スカイライン」登場も!? 両社の“モデル補完!?”ってことは「兄弟車」が増える? 今後考えられるコトとは

日産とホンダは2024年8月1日に都内で会見を行い、戦略的パートナーシップの検討進捗に関する共同会見を行いました。そこでは「モデルの相互補完強化」という話も出ましたが、今後何が起こり得るのでしょうか。

日産・ホンダが協業へ

 2024年8月1日に日産とホンダは共同記者会見を行いました。

 それを受けて、「ということは、これから一気に兄弟車が増えるの?」と思った人がいるかもしれません。

 なぜならば、両社が今後進める様々な技術連携と並行して、「モデルの相互補完を強化する」というのですから。

日産「シビック」やホンダ「スカイライン」登場も!? 夢が膨らむビックな2社の今後は?
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「モデルの相互補完」とは、いわゆる兄弟車のこと。

 ざっくりいえば、クルマの中身は同じでも内外装の違いなどで別のブランドとして販売するクルマのことです。

 そうなると、日産「シビック」やホンダ「スカイライン」というイメージの兄弟車がこれから続々登場することになるのでしょうか。

 モデルの相互補完、または兄弟車というビジネスモデルは、経済用語でOEM供給と呼ばれます。

 OEMは、オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリングの略称です。

 自社で基本設計や基礎的な研究開発はせず、他の自動車メーカーが仕立てたクルマを一部改良して製造してもらい、新車を販売店に供給してもらう手法を指します。

 外観の一部や内装など、デザインについては、OEM供給を依頼する自動車メーカーが関与することが少なくありません。

 こうしたOEM供給は、クルマだけではなく、アパレルや食品など多様な分野で行われており、ユーザーはあまり意識することなく日常生活の中で様々なOEM供給商品を購入しているものです。

 そもそも、自動車産業における兄弟車やOEM供給という考え方は、70年代以降に目立つようになりました。

 自動車メーカー各社で販売チャネルの多角化が進む中、効率的にラインアップを増やして製造台数を増やしたいという自動車メーカー側の事情があったことに起因します。

 海外市場では、1980年代以降にOEM供給が増えていきます。

 この時期、日系自動車メーカーは現地生産による市場の拡大を進めていました。

 とくに、アメリカでは急速に高まったSUV市場への対応などでOEM供給の事例が増加。例えば、ホンダといすゞの関係が思い出されます。

 変わり種としては、日産がメルセデス・ベンツ(当時のダイムラー)にピックアップトラックのOEM供給を行う事例もありました。

 国内市場では、2000年代以降、軽自動車の販売比率が高まったことで自社で軽自動車を生産していないメーカーが軽自動車メーカーにOEM供給が強化されていきます。

 トヨタとダイハツ、またマツダとスズキといった関係です。

 販売店としては、モデルラインアップを増やすことで、自社ブランドのユーザーに対して新車の買換えや、増車してもらう複数所有を進めたいという思惑があります。

 ユーザーからすると、付き合いが長い地元の販売店に対する信頼の高さから、仮に軽自動車を買うにしても、初めて商談する軽自動車メインの販売店からではなく馴染の販売店でワンストップショッピングができることを選ぶ人もいるのです。

 では、日産とホンダはなぜこのタイミングで「モデルの相互補完を強化」を打ち出したのでしょうか。
 
 最大の理由は、国や地域によって、電動化に向けた進み方が違うからです。

 技術的な目線で電動化といえば、ガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、そして電気自動車や燃料電池車へという流れを想定します。

 ところが実際には、社会環境の違いから、そうした技術的な進化が順調に進むとは限らないのが現実です。

 充電インフラ、電池のリユースやリサイクル、税金、購入補助金などについて、国や地域の政治的な判断よって電動化へ進み具合には差が生じているのが実状です。

 または、欧州での事例で明らかなように、完全EVシフトを掲げていた政策が修正され、ガソリンやディーゼル燃料の代替となるカーボンニュートラル燃料の普及も促進するといった、政策のどんでん返しが現実に起こっています。

 そうした中、自動車メーカーとしては、国や地域の市場特性や電動化の進み具合に応じて、手広いモデルラインアップを持ち、市場変化に柔軟な対応が必要となります。

 ただし、中長期的にはEVシフトがさらに進むことが想定できるため、ガソリン車やハイブリッド車などの新規開発コストをできるだけ抑えたいという気持ちもあります。

 そこで、「モデルの相互補完」強化という発想が出てくるのです。

 現時点で、ホンダと日産はどの国と地域で、どのモデルを相互補完するかを検討中という段階です。

 これまでの電動化の推移から考えて、アメリカのSUV、中国での各種モデル、そして東南アジア・南米・アフリカなどでの小型車などが、モデルの相互補完を強化する可能性があると思われます。

ガッチリ手を取り合う日産の内田社長(左)とホンダの三部社長(右) 肝心の日本市場はどうなる?
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 日本市場については、市場規模や各カテゴリーでのラインアップを改めてチェックすると、モデルの相互補完による即効性が想定できるケースがほとんどないように感じます。

 その上で、私見としては次期「エルグランド」のホンダ版は、日本での市場ニーズからして「アリ」かもしれません。

 トヨタ「アルファード/ヴェルファア」対向馬、日産とホンダそれぞれが担うというイメージです。

 グローバルでのEVシフトが本格化されると予想されている2030年代に向けて、ホンダと日産の「モデルの相互補完」はどのように進んでいくのか。

 今後も注意深く見守っていきたいと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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2件のコメント

  1. 1961年だったか?日産がプリンス自工を合併した時の事、思い出すね~。当時日産がトヨタに追いつけ追い越せと躍起になり、ブルにはスカイライン、セドリックにはグロリアと主力車種がバッテングしてた

  2. 日産とHondaの車間違えないで

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