スバルの「和製スーパーカー」!「水平対向エンジン」搭載で600馬力! “超合金鰹節”ボディもカッコイイ! スバルが本気で作った「VIZIV GT」とは
レースゲーム用のクルマを実在のメーカーが考える……そんな夢のようなプロジェクト「ビジョン グランツーリスモ」。2014年にはスバルも「スバル VIZIV GT ビジョン グランツーリスモ」を製作し、大きな話題となりました。
「スバル VIZIV GT」とは?
リアルな映像、リアルなサウンド、リアルな挙動でドライビングを楽しめるレースゲーム「グランツーリスモ」。ソニー・コンピュータエンタテインメントの家庭用ゲーム機「Play Station」用のソフトとして1997年に登場して以来、クルマ好きのみならず多くのゲームファンを夢中にしてきました。
Play Stationの進化に応じて発展を続けており、最新作は、Play Station5用の「グランツーリスモ7」がリリースされています。
グランツーリスモでは実在する世界の様々なクルマを走らせることができるのが大きな魅力ですが、グランツーリスモ15周年を飾る2013年には、グランツーリスモ発案者の山内一典氏が「みなさんが考えるグランツーリスモをデザインしてほしい」と提案。ゲーム内を走るクルマを、実在の自動車メーカーが製作するプロジェクト「ビジョン グランツーリスモ(Vision Gran Turismo=VGT)」がスタートしました。
フェラーリ、ジャガー、ポルシェ、ランボルギーニなど名だたるスポーツカーメーカーだけでなく、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、プジョー、そして国内各メーカーなど各社がこのプロジェクトに賛同。2024年現在、35種以上のVGTが出現しています。
各メーカーが考える理想の「GTカー=VGT」は、モーターショーで発表されるコンセプトカーのように、「メーカーの方向性」を示す重要なもの。
そのため、VGTは単なるゲーム内の架空のクルマを飛び越え、1/1のスケールモデルがモーターショーに展示されるほどの存在となっています。自動車メーカーのみならず、時計のブルガリやシューズのナイキなども参加していることも特徴です。
その一社であるスバルは、2014年11月6日に同社が考えるビジョン グランツーリスモ「VIZIV GT ビジョン グランツーリスモ」の予告イメージを公開。同月19日には、その姿を公開しました。
ベースのデザインは、2014年3月のジュネーブショーに出品したコンセプトカー「SUBARU VIZIV 2 CONCEPT」。VIZIV GT ビジョン グランツーリスモでは、そのデザイン言語を生かしつつ、ソリッドな面構成・低く幅広いダイナミックなスタイル・三次元的な造形のブリスターフェンダーなどにより近未来のGTカーにふさわしいデザインが与えられました。
同ゲームの紹介動画ではこのデザインについて「超合金鰹節」などと表現されています。
フロントには「レガシイB4」「アウトバック」「WRX」、「レヴォーグ」といった、当時の市販モデルが採用していたヘキサゴナル・グリルが備えられ、スバルのクルマであることをしっかり主張していました。
さらに特徴的なのはルーフの形状。2ドアステーションワゴン(シューティングブレーク)のようなフォルムは、長年「速くて実用的なステーションワゴン」を作り続けてきたスバルのブランドイメージに合致するものでした。
スバルといえば「水平対向エンジン」ですが、VIZIV GT ビジョン グランツーリスモも、もちろんスバル伝統の2リッター水平対向エンジンをダイレクトインジェクションターボで武装してフロントに搭載しています。そして前部に1つ・後部に2つのハイパワーモーターを搭載することにより、システム全体の最高出力は600 PSをマークしました。
各モーターの出力を独立制御することでコーナリングでの回頭性を向上しているほか、フェンダーに内蔵されたトルクベクタリング・ランプがその動きを可視化。実際のスバル車同様、高いパフォーマンスのクルマを思い通りにコントロールできるとうたわれていました。
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VIZIV GT ビジョン グランツーリスモは、ゲーム内の「夢のクルマ」ではありますが、ハイスペックで運転が楽しいというリアルなスバルのイメージを反映していました。SUV隆盛の時代のなかで、今後もスバルには、このようなスーパースポーツカーの提案を続けて欲しいと願うばかりです。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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