トヨタの南アフリカ法人であるトヨタ・サウスアフリカ・モーターズは2024年6月4日、5月の販売状況報告において「ヴィッツ」が好調であることを示しました。
　
　日本では「ヤリス」の車名に統合されたエントリーコンパクトカーですが、このクルマについてSNSなどではさまざまな声が寄せられています。

　ヴィッツは日本で1998年から2020年まで、3世代にわたって販売されたコンパクトカーです。国外では当初から「ヤリス」の名称が用いられていました。

　現行モデルが2020年に登場した4代目ですが、この際に日本仕様車もグローバル名のヤリスに統一され、ヴィッツの名称が消滅していました。

　一方、日本からはるか遠く離れた南アフリカのヴィッツは、スズキがインドで生産している「セレリオ」のOEM車です。

　セレリオは2014年の登場以来、生産国のインドを皮切りに、中南米、中東、アフリカなどで展開。現行型は2021年にフルモデルチェンジされた2代目で、2023年からトヨタへOEM供給を開始。このモデルの“ヴィッツ”の名称が用いられ、3年ぶりの復活を遂げました。

　南アフリカのヴィッツは、全長3695mm×全幅1655mm×全高1555mm、ホイールベース2425mm。現行ヤリスよりも一回り小さいサイズにまとめられています。

　パワートレインは最高出力67馬力・最大トルク89Nｍを発揮する1リッター直列3気筒ガソリンエンジンに5速MTまたはAGS（オートギアシフト）を組み合わせ、駆動方式はFFのみ。

　基本的にはセレリオのバッジエンジニアリングモデルですが、ヴィッツのラインナップにはオレンジアクセントとSUV風の加飾を施した「X-CITE」という上級タイプを設定。価格は16万9889ランド（約150万円）からとなっています。

　今回の南アフリカ法人の発表によると、2024年5月においてヴィッツの販売台数は423台を記録したといいます。

　1位はピックアップトラック「ハイラックス」が2367台、2位がミディアムSUV「カローラクロス」と、ヴィッツはこれらよりも台数は少ないものの、現在南アフリカではコンパクトカーのニーズが高まっており、乗用車市場でのシェアは直近5年間で53％から64％へと拡大しています。

　販売台数状況からも分かる通り中大型車が好調ですが、小型車においては欧州や韓国メーカーが台頭。そうしたなか5月では「力強い売上を示した」（同社）としており、今後はスズキとの協業を強化することで、さらなるコンパクトカー需要増に備えていくとみられます。

※　※　※

　そんなヴィッツに対し、SNSなどではさまざまなコメントが投稿されています。

「え、ヴィッツあったんだ」「まさかの復活してた！」など、日本で長らく親しまれてきた名称が復活したことに驚きを隠せない人が多いようです。

　また、「このくらいのサイズの車だと街中走りやすくていいね」「全幅1650mm程度の車が、地方だと一番使いやすいんだよ」など、新型車のボディサイズが大型化するなかで、全幅や全長をおさえたボディサイズに魅力を感じるとする声も。

　さらに、「アフリカではこういうデザインが人気なのかな？」「この見た目、好き！」
「テールのデザインが初代ヴィッツを彷彿とさせる」など、デザインに関してもさまざまな意見が寄せられています。