国産5社が語る! 「意外と孤独」 どういうコト? 同じ悩みを持っていた? 普段はライバルも「共に挑む!」ワケとは
普段、自動車メーカーはライバル関係にあります。しかし、同じ課題で悩んでいたりもするようです。スーパー耐久で行われる国産自動車メーカー5社の「ワイガヤ」とは何なのでしょうか。
国産自動車メーカーの5社が共に挑む!
2024年5月25日にスーパー耐久シリーズ第2戦「富士24時間レース」の場にて、トヨタ・ホンダ・日産・スバル・マツダが一同に集まり会見を行いました。
日頃はライバル関係にある国産メーカーですが、モータースポーツの場では「共に挑んだ」取り組みをしています。
スーパー耐久シリーズでは、「ST-Q」という開発車が参加出来るカテゴリーが存在します。
このST-Qには、現在トヨタが「水素エンジン」を搭載するカローラとカーボンニュートラル燃料(以下CN燃料)を用いた「GR86」で参戦しています。
スバルとマツダは同じCN燃料を使った「BRZと「ロードスター」で参戦。
なおマツダは次世代バイオディーゼル燃料を使った「マツダ3」も投入しています。
さらにホンダは「シビックタイプR」、日産は「フェアレディZ」に前述のトヨタ・スバル・マツダと異なるCN燃料を使い参戦してきました。
こうした動きを個社ではなく国産5社で取り組んでいこうとするのが2022年11月に発足した「S耐ワイガヤクラブ」です。
この取り組みは、「モータースポーツをこれからもより一層、みんなで盛り上げていくために」、「そしてモータースポーツの現場からサステナブルな社会へ貢献していくために」というテーマの元、メーカーの垣根を超えて行っているもので、共通スローガン「共挑」という言葉を用いられて展開しています。
これまでもスーパー耐久のラウンド毎に5社のワイガヤが行われてきたと言いますが、今回の富士24時間レースでは5社が揃って合同会見を行いました。
参加したのは、TOYOTA GAZOO Racingの高橋智也プレジデント、ホンダ・レーシングの桑田哲宏室長(桑は異体字)、日産モータースポーツ&カスタマイズの石川裕造常務執行役員、スバルの藤貫哲郎専務執行役員、マツダの前田育男エグゼクティブフェローが登壇。
それぞれのスーパー耐久ST-Qクラスにおける取り組みや目指すものを語りました。
また、5社で取り組む意義なども各社の想いを交えてそれぞれが話すなど、普段では見られないレースの現場ならではの様子が見られました。
そうした中、今後5社で取り組みたいこと、そして5社で取り組むことで得られたものについて、各社は次のように話しています。
「いままで『5社が集まると何できるんだろう』ってことは1度も考えたことなかったと思います。
そういう意味で言うと、このモータースポーツを5社で一緒に活動を一緒に取り組みながら、自動車業界であったり、このレースという業界を今後どういう方向に持って行くだとか。
あるいはどういうふうに発展させていくのか、みたいなところはすごく考えるきっかけにはなってると思います。
まだ具体的に何っていうのが社内に出てきてるわけではないんですけど、そのきっかけになったのは間違いないかなという風には思っています」(ホンダ・レーシングの桑田哲宏室長(桑は異体字))
「自動車業界はこれから色々な問題に取り組んで行かなきゃいけないです。
ただ5社でひとつのものを作るとなると、各社のエンジニア同士の譲れない喧嘩になるので、やらないほうがいいです。
一方で技術開発をやるエンジニアはある意味で孤独なんです。
そうしたときに他社と話すと意外に同じ悩みを持っていたり、同じ悩みを持っていたりと、そういう部分では勇気づけられます。
競争しながらやってますが、でも1人ぼっちじゃないっていうのはすごく勇気づけられるなんていう風に思います」(スバルの藤貫哲郎専務執行役員)
「やはりスバルさんが言うように『(技術開発の悩み)自分たちだけじゃないよ』っていうのはあります。
カーボンニュートラル燃料もスバルさん、マツダさんと鍛えられることもこの取り組みのメリットだと思います。
またモータースポーツが実験室として認知されてきて、人材も技術もスピード感もって進化していくことも良いことだと思います」(TOYOTA GAZOO Racingの高橋智也プレジデント)
「この5社が同じ方向に向かって、技術にしてもクルマそのものにしても、そういったところを『切り開いて行こう』という意思を持って一緒になっているっていうのは、みなさんと同じように勇気づけられます。
まだまだ楽しいクルマ残せるね、楽しいスポーツを残していける、という風に出来るのは良い部分だと思います
あとは5社が一緒に違った視点で世の中に楽しさを伝えていくっていうことができ始めると、これすごいパワーになると思ってます」(マツダの前田育男エグゼクティブフェロー)
「毎回ワイガヤではこの5社で色々なことを話しています。
他のレースではどうしてもライバルという感じで深い話は出来てませんが、このスーパー耐久では深い話が出来る。それが1番の財産だと思っています。
あとは、今後ハイブリッドや電気自動車の時代になるなかでのモータースポーツとして共通のフォーマットが作れるきっかけの場になるのではないかと思っています」(日産モータースポーツ&カスタマイズの石川裕造常務執行役員)
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このように普段は、日本のみならずグローバルでライバル関係となる自動車メーカーですが、カーボンニュートラルの取り組みや、将来のモータースポーツの発展など共通の課題では、共に挑むことで未来が開けるかもしれません。
5社のワイガヤが今後どのような展開を迎えるか、目が離せません。
5社で一緒に活動するだけじゃなく、それをしっかりと発信しないと意味がない