もはや「絶滅」寸前!? 燃費“度外視”の「V12エンジン搭載モデル」何がある? まさかの「SUV」にも搭載!? ロマン&トルクたっぷりの魅力とは
クルマのエンジンがダウンサイジングされるなかで、大排気量の多気筒エンジンは希少になりつつあります。今回は、ロマンあふれる「V型12気筒」を搭載する5つのモデルをピックアップして紹介します。
ロマンありすぎ! 漢の「V12」搭載車たち
近年、環境対応などでエンジンのダウンサイジング化が目覚ましく、大排気量の多気筒エンジンは姿を消しつつあるのが現状。しかしクルマ好きであれば一度は大排気量の多気筒エンジンに乗ってみたいと思うことでしょう。
そこで今回は、そんな大排気量の多気筒エンジンの中でも、比較的選択肢の多いV型12気筒エンジンを搭載したモデルをいくつかピックアップして紹介します。
●トヨタ「センチュリー」(先代・GZG50型)
日本を代表するショーファードリブンカーとして知られる「センチュリー」。
現行型はハイブリッドモデルとなったことでV12型エンジンは採用されませんでしたが、2代目モデルには国産乗用車としては唯一のV12型エンジンである5リッター「1GZ-FE」型エンジンが搭載されていました。
出力こそ当時の自主規制値もあって280PS・49.0kg・mと別段パワフルというワケではありませんでした
しかしショーファーカーという特性上、エンジンを含む走行にまつわる部分の多くにバックアップのための2重系統化がなされており、12気筒中の片バンク(6気筒)に不具合が発生しても、残りの6気筒分で走行ができるようになっているのも特徴でした。
そんな国産唯一のV12型エンジンを搭載する2代目センチュリーですが、過走行の中古車であれば100万円以下のものも珍しくなく、現在最も手の届きやすいV12型エンジン搭載車となっています。
●メルセデス・ベンツ「Sクラス」(3代目~7代目)
メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルとして知られる「Sクラス」ですが、V12型エンジンが搭載されたのは3代目のW140型から。その後は代を重ねてもV12型エンジンを搭載する仕様を常にラインナップし続けてきました。
しかし現行型となるW223型では通常モデルはおろか、ハイパフォーマンスブランドのAMGでさえもV12型エンジン搭載車はラインナップされず、マイバッハブランドからリリースされる「メルセデス・マイバッハ S680 4MATIC」にのみ搭載されています。
モーターアシストが備わらない純然たるV12型ツインターボエンジンは5980ccの排気量を持ち、わずか2000回転から900N・mというとてつもないトルクを発生。
このクラスの車両はオーナーが運転するケースは珍しいと思いますが、一度は運転してみたい1台と言えるでしょう。
●BMW「7シリーズ」(2代目~6代目)
直列6気筒エンジンのイメージの強いBMWですが、V12型エンジンは2代目7シリーズのE32型「750iL」に搭載されており、このモデルは第二次世界大戦後のドイツ車としては初めてV12型エンジンを搭載した車両としても知られています。
先代モデル(G11・12)にラインナップされていた「M760Li Xdrive」は、フラッグシップモデルでありながら、BMW M社がチューニングを施したMパフォーマンス オートモビルとなっているところにBMWらしさを感じることができる1台となっていました。
残念ながら2022年に登場した7代目の現行型(G70型)からはV12型エンジン搭載車は存在していません。
●ランボルギーニ「レヴエルト」
V12型エンジンを搭載する「アヴェンタドール」の実質的な後継車種として、昨年3月に初公開された「レヴエルト」。
アヴェンタドールと同じくV12型エンジンをミッドシップにマウントすることは不変ながら、ランボルギーニの量産モデルとしては初めて電動パワートレインを搭載したプラグインハイブリッド車というのが大きな違いです。
ただ、プラグインハイブリッドといってもエコに振ったものではありません。
「HPEV(ハイパフォーマンスEV)」とメーカーが呼称するように、825PSを発生する6.5リッターエンジンに3基の電気モーターを組み合わせたパワートレインを持っており、システム最高出力は驚異の1029PS、最高速度は350km/h以上というまさにスーパーなモデルとなっているのです。
●アウディ「Q7」(初代・4L型)
アウディのプレミアムクロスオーバーSUVとして2005年に登場した「Q7」。
プラットフォームはフォルクスワーゲン「トゥアレグ」やポルシェ「カイエン」と共通のものを採用していましたが、トゥアレグに搭載されたW12型は搭載されず、そのかわりにV12型のディーゼルエンジンを搭載した「Q7 V12 TDI」が存在していました。
日本では正規販売されなかったこのモデルは、世界で唯一のV12ディーゼルターボを搭載したSUVとされており、6リッターの排気量を持つこのエンジンは、500PS/101.7kg・mというスペック。
2.6トン超の巨体を停止状態から5.5秒で100km/hまで加速させるというスポーツカー顔負けのスペックを誇っていたのです。
前述したように日本への正規輸入はされませんでしたが、並行輸入で登録された車両が存在しているようなので、気になる人は中古車をチェックしてみてはいかがでしょうか。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
センチュリのV12.あれはトヨタの直6J型2.5Lを用いて造られたさすがトヨタさん既存の部品で別なエンジン完成させた