謎のSUVスタイル「コンパクトミニバン」登場か？

　日産は2024年3月25日、経営計画「The Arc」を発表しました。計画では2026年までに投入する新型車の概要がアナウンスされています。
　
　また、投入予定モデルとみられるシルエットが走行するイメージ動画も公開されましたが、そのなかには、現在国内のラインナップにはないコンパクトSUVミニバンの姿を示す新モデルも登場しています。

　The Arcはすでに発表されている長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の達成に向けた中長期の経営計画を示すもので、新型車の投入や電動化の推進、新技術の開発、ルノー・日産・三菱のアライアンスの継続活用、さらに収益や販売台数の増加を見据えています。

　このうち新型車は、今後3年間で16車種の電動車、14車種のICE（内燃機関搭載）車の計30車種をグローバルで投入していく方針が明らかにされ、ICE車では乗用車ラインナップの60％が刷新されるとアナウンスされました。

　こうした取り組みにより、2026年度までに2023年度比で100万台の販売増と営業利益率6%以上を目指すとしています。

　なお、日本においては乗用車モデルラインナップの80％を刷新し、5車種の新型車を投入。電動車のモデルミックスを70％へと向上する予定です。

　そして、投入予定の新型車の詳細に関しては、「ムラーノ」や「パトロール／アルマーダ」「キックス」および高級ブランド「インフィニティ」で展開する「QX80」と、2024年度に刷新する一部モデルに関して具体的な車名が掲げられています。

　そのほか、2025年以降のモデルでは車名は明かされなかったものの、イメージ動画のシルエットでは特徴的なボディ形状やランプの点灯状態が確認でき、新モデルの姿を示唆するものになっています。

　なかでも、ミニバンタイプの新型車は2つあり、1つは大柄で堂々としたボディである点が「エルグランド」や2023年10月の「ジャパンモビリティショー2023」で公開された「ハイパーツアラー」に類似しています。

　そしてもう一方のモデルは、ミニバンのようなキャビンを確保しつつも、ルーフレールの装着や比較的高い車高であることが分かります。

　さらに、ヘッドライトやテールライトはそれぞれフロントやリアの四隅に配置され、4つに分割された斬新なデザインを採用していることもひとつの特徴です。

　この新型車に類似するものと言えば、Nissan Ambition 2030の発表時に公開されたコンセプトカー「Hang-Out（ハングアウト）」があります。

　ハングアウトはユーザーに自宅や仕事場以外の「第3の空間」を提供するモデルとして登場しました。

　日産独自の四輪制御技術「e-4ORCE」や「プロパイロット」の進化技術が搭載されるほか、移動中の振動も抑えられ、ユーザーが快適に作業できる空間を実現しています。

　大開口のサンルーフにより開放感のある室内空間とし、前後ドアの間にピラーがなく（ピラーレスドア）乗降性に優れ、さらに映画館の椅子のようなオシャレなシート（4座）を設置。停車中にシートを回転させて仲間と談笑したり、映画鑑賞ができるなど、自由な時間を過ごすことが可能だと言います。

　家族や友人などといっしょに移動する新たなSUVミニバンの形を提唱するモデルですが、角張ったボディ形状やタフなイメージのデザインといった部分では、新型モデルと共通性を感じさせます。

　現時点で2024年以降の登場を予定しており、正式な車名や詳しいデザインは不明ですが、日産のミニバンラインナップではミディアムミニバン「セレナ」が2022年11月にフルモデルチェンジを実施して発売されたのみで、エルグランドやセレナよりもさらにコンパクトなサイズの新モデルが待ち望まれています。

　そうしたなかで、今回の新型モデルがそのまま登場することになると、数少ないSUVスタイルのミニバンという新たな路線を開く存在にもなり、ますます期待が高まります。