なぜ「トヨタ・ランクル」盗まれた? 対策万全なハズが“40分以上”かけて盗難される! カメラで判明した盗まれ方とは
完璧に見える盗難対策! でも盗まれた理由とは…?
今回の盗難被害者であるAさんにどのような防犯対策をしていたか聞いてみたところ、以下の回答を頂きました。
「ハンドルロック2か所とリレーアタック対策のために鍵を金属製のケースに入れていました。
それから防犯カメラを3か所に設置していました。
トヨタ純正のT-ConnectにはGPSでクルマを追跡できるトヨタ純正のT-Connectもつけていました」
一見すると、しっかりした防盗対策が講じられているように見えますが、残念ながらいずれの対策も効果を発揮することなくランクルは盗まれてしまいました。その理由について検証してみましょう。
●ハンドルロック
ハンドルロックは見た目からして窃盗犯に「盗みづらい」印象を与えますが、実はほとんどのハンドルロックは巨大なニッパーのような器具で短時間で切断されてしまいます。
Aさんは2つのハンドルロックを使っていましたので少し時間はかかっていますが2つとも切断されて持ち逃げされてしまいました。
なお、防盗対策として毎日ハンドルを外して自宅に持ち帰る人もいますが、この方法も確実ではありません。
下見の際、窃盗団がハンドルがないことを確認し、犯行時にはクルマに合う別のハンドルを装着し、ものの数分で盗んでいきます。
ハンドル以外にもバッテリーを外しているクルマも同様に盗まれる可能性があります。
●電波遮断ケース
リレーアタック対策としてAさんはランクルの鍵を金属製の電波遮断ボックスの中に入れていました。
こちらは鍵から発する微弱な電波を増幅させてドアを解錠、エンジン始動するリレーアタックの手口には効果がありますが、鍵の電波を必要としないCANインベーダーでは残念ながら無意味です。
●T-Connect(トヨタ純正GPSで追跡可能)
トヨタは2014年7月より新しいテレマティクスサービスとして「T-Connect」(ティーコネクト)を展開しています。
車種や年式によってサービス内容が変わりますが、Aさんのランクル200には盗難された際などに追跡できる機能がついていました。
いわばメーカー純正のセキュリティ装置なので、信頼性が高いというイメージを抱いてしまいそうですが、実は逆です。
純正=同型車種なら同じ場所にユニットが設置されているため、いったん窃盗団に解析されてしまうといとも簡単にT-Connectのユニット等は破壊されます。
実際、Aさんがランクル200がないことに気づいて愛車の位置をサーチしたところ、最後の位置情報として表示されたのは自宅の駐車場でした。

※ ※ ※
盗難された日について、Aさんに確認したところ「風が強い日だった」そうです。
強風の日や大雨、台風などの荒天は窃盗団にとっては音が周囲に伝わりにくいため窃盗するには最高の条件となります。
このような天気の夜間には特に気を付ける必要がありそうです。
なお頼りになるはずの車両保険も近年は支払われない、または満額出ないケースが増えています。
警察の捜査も期待できないと思っていいでしょう。自動車窃盗の検挙率は全国平均で42.7%(2023年)ですが盗難の多い千葉、埼玉、愛知などでは約20-25%(同)です。
純正セキュリティは最初に破壊されますので、社外品のGPSやセキュリティアラームなど信頼性の高い製品を技術力の高い専門店で確実に取り付けて、扱い方の説明もきっちり時間をかけて受けることをお勧めします。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。





































