2016年にトヨタのFRスポーツカー「86（ハチロク）」（初代）をベースに製作されたプロトタイプモデル「86 SHOOTING BRAKE CONCEPT（シューティングブレーク コンセプト）」が、2024年2月14日から5月6日にトヨタ博物館（愛知県長久手市）で特別展示されます。
　
　しばらく表舞台から姿を消していた86シューティングブレーク コンセプトに対する新鮮な驚きと共に、SNSなどでは再び話題を呼んでいるようです。

　86シューティングブレーク コンセプトは、日本の86開発チームではなく、オーストラリアのトヨタ法人に在籍するプロダクトデザインチームの企画から始まりました。

　車名の“シューティングブレーク”とは、「Shooting（シューティング：狩猟）」用としてボディ後部にワゴンボディを架装したモデルを指し、上流階級の狩猟遊びに使うだけに造られた贅沢なイメージから転じて、スポーティなフォルムのクーペモデルに長いルーフを伴うラゲッジルームを備えたクルマを表すものとなりました。

　そのため通常のステーションワゴンとはひと味違った、ちょっと特別なニュアンスを伴った名称といえます。

　86シューティングブレーク コンセプトも、86の2ドアクーペボディに、より長い後部のヘッドルームとラゲッジスペースを加えたことで、実用性とスポーツ性能を兼ね備えた新たなキャラクターを与えました。

　企画を担当したトヨタ・オーストラリア法人の国内マーケティング部門マネージャー（当時）のブラッド・クラム氏は、製作した2016年当時、次のように語っています。

「シューティング ブレーク コンセプトは、アクティブなカップルや、人とは違うものを求めるファミリー向けのセカンドカーに相応しい上品な選択肢です。

　サーキットだけでなく週末の遠出にも共に適しており、感性と理性の両方で購入を決断できるクルマといえます」

　これを当時の86開発責任者が気に入り、走行可能なプロトタイプモデルの製作が実現しました。

　単に1／1のモデルを製作しただけではなく、日本の開発チームによって走行テストも行われ、FRスポーツカーである86の優れた操縦安定性を損なわない性能を確認したといいます。

　完成した86シューティングブレーク コンセプトは、オーストラリアをはじめ日本でも展示が行われ反響を集めたものの、市販化には至りませんでした。

　2016年の発表からおよそ8年が経過し、久しぶりに我々の前に姿を現す斬新なコンセプトカーに対し、SNSなどで再び盛り上がりをみせているようです。

　多かったのはやはりスタイリングに関する声で、「なんか新鮮」「最初は違和感あったけど見慣れるとアリかも」など、おおむね好評なようです。

　さらに「86だと荷物はたくさん積めないから、こういうの欲しい人いるはず」と、実用性の高さに期待を寄せるコメントも。

　また「AE86は2ドアクーペと3ドアハッチバックの2種類あったから、現代のハチロクにも同様に2タイプあってもおかしくはない」と、86のルーツであるAE86型「カローラレビン」「スプリンタートレノ」を想起した人も見られました。

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　86はその後2021年にフルモデルチェンジを実施し、現行型の2代目86（GR86）にバトンタッチしています。

　初代同様に2ドアクーペのみのラインナップを継承していますが、今後86シューティングブレーク コンセプトのような楽しい派生モデルが追加されることにも大いに期待したいところです。