王者ランクル「ライバル四駆」はなぜ「消えた」!? 海外には「日産“本格”SUV」あるのに? 最上級SUV「サファリ」復活の可能性はないのか
海外向け「ニッサン本格四駆」を国内に再導入しない2つの理由とは
日産がパトロール(サファリ)を再導入しない理由は、大きく分けて2つ考えられます。
ひとつは、このような本格的な大型クロカンは、日本ではビジネスにならないこと。
国内におけるランクルの人気は、海外からの需要が大いに関係しており、自動車メーカーとしてビジネスが成立させることができるほどの市場規模ではないようです。
輸出事情にも詳しい中古車買い取り店の担当者は、次のように話します。
「海外向けのランクルは、日本にあるような高級グレードが販売されていなかったり、価格も現地で新車を買おうとすると異常に高く、そしてそもそも新モデルが導入されるのが遅かったりします。
そこで中東などのクルマ好きな富豪たちは、自国で手に入らないクルマを、お金をいくらでもつぎ込んで海外から求めます。
こうした動きが新車、中古車問わず需要を底上げし、日本でのランクルの異常な人気ぶりにつながっているのです」
日産が本格四輪駆動車を導入しないもうひとつの理由は、パワートレインの問題です。
昨今の日産の新型車は、ほとんどがBEV(バッテリーEV:電気自動車)、もしくはハイブリッド車「e-POWER」搭載モデルです。
今の日産の企業方針を考えると、前時代的な大排気量のガソリン車で、しかもリッターあたり6kmから7kmという「極悪燃費」の現行型パトロールを日本市場へ「ポン」と出すことは、残念ながらまず考えられません。
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しかし、ミッドクラスSUV「エクストレイル」に搭載されている「VCターボ+e-POWER」などのハイブリッドユニットを搭載できれば、日産が目指す電動化戦略にも沿うと考えられ、日本市場復活となる可能性もなくはないと思われます。
現在、日産の国内SUVラインアップは、エクストレイルとコンパクトクラスの「キックス」のみという寂しい状況。
大型のフラッグシップSUVとしてサファリを復活させ、市場を独占するランクルに一矢報いるという「チャレンジ」も見てみたいところです。
単純な話、車離れのこの時代にバカスカ売れそうな車しか出さない、という経営判断では無いかと。