他社だけど同じクルマ? コピーとも模倣とも違う「OEM」とは(写真22枚)

日本の売れ筋軽乗用車、ほぼすべてOEM車アリ

 国内自動車メーカーにおけるOEMについて、たとえば、2016年度の国内軽乗用車販売ランキングベスト15の車種と、そのOEM車は次の通りです。

●2016年度軽乗用車販売ランキングベスト15とそのOEM車(スラッシュ以降がOEM車)
・1位:ホンダ「N-BOX」
・2位:ダイハツ「タント」/スバル「シフォン」
・3位:ダイハツ「ムーヴ」/スバル「ステラ」
・4位:日産「デイズ」(※1)
・5位:スズキ「アルト」/マツダ「キャロル」
・6位:スズキ「スペーシア」/マツダ「フレアワゴン」
・7位:ホンダ「N-WGN」
・8位:スズキ「ハスラー」/マツダ「フレアクロスオーバー」
・9位:スズキ「ワゴンR」/マツダ「フレア」
・10位:ダイハツ「ミラ」/スバル「プレオ」
・11位:ダイハツ「キャスト」/トヨタ「ピクシス ジョイ」
・12位:三菱「eK」/日産「デイズ」
・13位:ダイハツ「ウェイク」/トヨタ「ピクシス メガ」
・14位:トヨタ「ピクシス」(※2)
・15位:スズキ「エブリイワゴン」/マツダ「スクラムワゴン」、日産「NV100クリッパー リオ」、三菱「タウンボックス」

※1 日産「デイズ」は、三菱との合弁会社NMKVが開発し三菱が製造した、三菱「eK」のOEM車。
※2 トヨタ「ピクシス」シリーズは全てダイハツからのOEMで、上述の「ピクシス ジョイ」「ピクシス メガ」がこれにあたる。それらシリーズ合計の販売台数で14位。

※ ※ ※

 このように、軽乗用車販売上位車種にはおおむねこれを原型とするOEM車があり、また、スズキ「エブリイワゴン」のように、複数の会社からOEM車が販売されているケースもあります。加えて2017年6月現在、軽乗用車を販売する国内主要自動車メーカーのうち、トヨタ、スバル、日産、マツダの4社は自社工場でこれを生産していません。

 軽自動車販売業者の団体である全国軽自動車協会連合会(東京都港区)によると、軽自動車におけるOEMの車種自体は増えているといいます。

 その背景には不況やクルマ離れ、軽自動車の売り上げ状況、それらを受けた企業の経営判断など、さまざまな要因が考えられるでしょう。たとえばスバルは、創業の原点ともいえる軽乗用車「スバル360」や、俗に「農道のポルシェ」ともいわれた軽トラックを開発、生産、販売してきた歴史がありますが、他社とのアライアンス(事業提携)や事業再編を経て、現状すべての軽自動車についてOEM車の供給を受けています。他方トヨタや日産は創業以来、軽乗用車の生産を手掛けたことは一切ありませんでしたが、OEM車の供給を受けるカタチで軽自動車市場に参入してきました。

 いつからこうした状況になっているのでしょうか。また今後はどうなっていくのでしょうか。引き続きダイハツに話を聞きました。

――OEMはいつごろから行われるようになったのでしょうか?

 自動車業界におけるOEMそのものは以前から行われていますが、現在当社で主流となっている軽乗用車のOEM供給は、2000年台後半からです。たとえばトヨタさんにおいても、近年の軽自動車の販売好調を受けてこれを扱いたいということで、当社からの供給が始まりました。

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