他社だけど同じクルマ? コピーとも模倣とも違う「OEM」とは(写真22枚)
自社のクルマを他社に供給し、別のクルマとして販売する「OEM」と呼ばれる手法があります。そもそもどういうものなのでしょうか。
同じクルマでもコピーではない「OEM」
2016年度に最も売れた軽乗用車は、ホンダの「N-BOX」で約19万台、2位はダイハツ「タント」で約15万台です(全国軽自動車協会連合会調べ)。
2位の「タント」には、別のメーカーからほぼ同じクルマが販売されています。それは、スバルの「シフォン」。一見してエンブレム以外に違いは見られません。
この「シフォン」は、「タント」のOEM車です。「OEM」とは「Original Equipment Manufacturing」の略で、発注元企業の名義やブランド名で販売される製品を供給することを指します。つまり「シフォン」は、スバルがダイハツに製造を委託して供給された、「タント」とほぼ同じクルマということになります。
自動車業界におけるOEMについて、ダイハツに話を聞きました。
――OEM車を供給する、あるいは受けるメリットとはどのようなものでしょうか?
供給するメリットとしては、自社の生産量を確保し、工場を安定的に稼働できることが挙げられます。また当社もトヨタさんから「プリウスα」「カムリ」のOEMを受けて、それぞれ「メビウス」「アルティス」として販売しています。これには、自社で開発していない車種を補完できるメリットがあります。
――ダイハツではどれくらい他社に向けたOEM車の生産を行っているのでしょうか?
当社の国内生産台数のうち約26%が、他社に向けたOEM車です。インドネシアの工場でも生産しており、当社の世界生産台数ではOEM車がおよそ3分の1を占めます。
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「OEM」とは、商品を供給する側は生産力を、受ける側は販売網やブランドなどを提供することで、Win-Winの関係を結ぶことができる手法といえるでしょう。
ダイハツが生産するクルマの約3分の1を占めるというOEM車ですが、では実際のところ、業界全体でOEMはどの程度広く行われているのでしょうか。