ホンダ「“次期型”シティ!?」な「新ハッチバック」実車公開! 実際の関連性は? 市販化は!? “ただのコンセプトカー”じゃない「SUSTAINA-C」の正体とは

ホンダがジャパンモビリティショー2023で初公開した新型「SUSTAINA-C Concept」は、一見ホンダの名車「シティ」のように見えますが、ただのコンセプトカーではないようです。このクルマに込められたメッセージをチーフデザイナーに聞いてみました。

新型「SUSTAINA-C Concept」はただのコンセプトカーじゃなかった? 

 ホンダがジャパンモビリティショー2023で初公開した新型「SUSTAINA-C Concept」。12月22日から25日にかけて行われた「福岡モビリティショー」でも展示され、注目を集めました。

 このクルマ、実は通常のショーカーとは成り立ちが違うのです。そのあたりについて、デザインを担当した本田技術研究所デザインセンターe-モビリティデザイン開発室プロダクトデザインスタジオチーフデザイナーの古仲学さんに話を聞きました。

シティじゃないの…? ホンダ新型「SUSTAINA-C Concept」
シティじゃないの…? ホンダ新型「SUSTAINA-C Concept」

 通常、モーターショーや今回のモビリティショーに出展されるコンセプトモデルは、展示されるショーのために作られるものです。

 もちろんそこには新技術やアピールしたいデザイン、あるいは、現在検討中で方向性を探りたいアイデアなどが盛り込まれています。しかし、あくまでもそれはショーのために作られたモデルなのです。

 しかし、SUSTAINA-C Conceptは実は違うというのです。古仲さんによるとこれはコンセプトモデルというよりも、先行開発のためのプロトタイプだそうです。

 どういうことでしょうか。例えば「フィット」を考えてみましょう。次期型のフィットを開発する際、次期型のプラットフォームやエンジン機構などを現在販売中のフィットのボディと組み合わせて開発します。

 一方で新しい外板技術などの場合は、なかなかそうはいきません。例えば今回SUSTAINA-C Conceptに採用されているものは、水平リサイクル可能な耐衝撃性アクリル樹脂の特徴を利用したボディや、スクリーンテールゲートなどが挙げられます。

 しかし、こういったものは実際のものにしてみないとどういう商品になるかが分からないのです。

 そこで、「今後出てくるであろう小型電気自動車のプラットフォームを使って、新たにそういった新技術を採用してデザインしたモデルが、SUSTAINA-C Conceptなのです」と教えてくれました。

 つまり、次期型よりももっと先を見据えた開発を行い、「それを実現するとこうなるよね」と分かりやすく示したもの。それはあくまでも社内で検討するためであり、本来であればこういったショーに出てくるものではないのです。従って、SUSTAINA-C Conceptは新技術のショーケースといえるでしょう。

 ですから「SUSTAINA-C Conceptはジャパンモビリティショーに出す予定ではなかったんですね。ただこういうモデルがショーに出たらおもしろいよねといっていたら、本当に出すことになりました」。

エコとエゴ

 ではなぜ、このようなデザインになったのでしょうか。

 そのコンセプトは「エコとエゴ」だと古仲さん。「環境に良いことや地球に優しいことと、自分がやりたいことを両立させたいという思いです」といいます。

 例えば外装の樹脂パネルは、その特性を生かして塗装の必要はありません。アクリルは耐候性と表面の平滑性に優れているのと同時に、高い発色性と透明性をもっているので、塗装せずに高いデザイン性を実現することが可能なのです。

 文具店などで売られているアクリル板を考えれば伝わりやすいでしょう。実はクルマの製造時、塗装工程でのCO2発生は非常に多いのです。だから、塗装をしないということは、CO2削減につながるわけです。

 さらにSUSTAINA-C ConceptはBEVを想定していますから、走行時にCO2排出がありません。

「しかし」と古仲さん。「それだけですとお客様は、それは良いですねということで終わってしまい、心に打つものがないんです」とのこと。そこでSUSTAINA-C Conceptは、スケルトンや、2色を同時に成形したものや、違う色の素材を混ぜ合わせることによってマーブル模様にしたり、金属の細かい粒子を混ぜ込むことによって、スケルトンの中に粒子が浮いているように見せたりなど、この樹脂パネルの特徴を生かしたバリエーションを提案しています。

 こういったものは、通常の鉄板にペイントすることではできないデザインです。それらを付け替えられるようにすれば、自分好みに仕上げられるでしょう。

 これがエコとエゴ。環境に良いうえに、見た目も楽しくなるということなのです。「エコもやるけれどもエゴ、自分のやりたいことも絶対諦めない。それらを両立させることが一番大きなコンセプトです」と語ります。

 その結果として、「見た目もフレンドリーで、本当に触って、乗ってみたくなるデザインにしました」とのことでした。

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