スズキの巨大な「高級車」!? 斬新デザイン採用した「フラッグシップモデル」が凄い! “意外な用途”でも活用されているモデルとは
軽自動車やコンパクトカーのイメージが強いスズキですが、過去には大きめの上級セダンを販売していたことがありました。現在では考えにくいその意外なモデルとは、一体どのようなクルマだったのでしょうか。
知る人ぞ知る「レアカー」
スズキといえば、日本国内では軽自動車やコンパクトカーが人気のメーカーですが、意外にも「エリオセダン」や「SX4セダン」などの様々なセダンを過去には販売していました。
残念ながらスズキは2016年に国内のセダン市場から撤退してしまいましたが、そんな同社が最後に販売していたセダンが「キザシ」です。
キザシは2009年から完全受注生産のかたちで販売していたミドルサイズセダンで、ボディサイズは全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmと、スズキ製のセダンとしては異例の大きさを誇りました。
搭載するパワーユニットはSUV「エスクード」に採用されていた2.4リッターエンジンをチューンアップしたもので、その最高出力は188馬力とベースから20馬力も向上。
トランスミッションはジヤトコ製のCVTですが、国外向けにはスポーティな6速MT仕様もラインアップされていました。
そんなキザシが最初に世に姿を表したのは2007年のこと。
同年9月にドイツで開催された「フランクフルトモーターショー」に、キザシはコンセプトカーとして登場しました。
このときの名称は「キザシ・コンセプト」で、ボディタイプはワゴンタイプ。
その後、同年10月の「東京モーターショー」では、第2弾となる「キザシ・2」というSUVタイプのコンセプトカーが出展されます。
このようにキザシはボディタイプを変更しながら進化を続け、2008年の「ニューヨーク国際オートショー」に出展された「キザシ・3」をもって、市販モデルと同じセダンタイプのボディになりました。
最終的にセダンタイプでの市販化が決定したキザシは、2009年7月に米国スズキによって発表され、同年9月の東京モーターショーで世界初公開。
「スズキが新しいクルマ作りに挑戦したモデル」の実車が展示されるということから、大きな注目を集めました。
スズキの次代を担うフラッグシップカーとして気合の入った開発が行なわれたキザシですが、世界規模での経済不況(いわゆるリーマンショック)や米国市場からの撤退など様々な要因が重なり、残念ながら2015年12月に販売終了となります。
販売開始された2009年から2015年までの6年間における日本で販売数は3379台。大きく宣伝されなかった完全受注生産モデルとしては奮闘した方ではないでしょうか。
ちなみに販売された3379台のうち、4分の1以上を占める約900台前後は警察車両として採用されたといい、「白黒」のパトカー仕様のみならず、一見するとパトカーとは分からない捜査用車両にも使われています。
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意外な用途にも採用された、知る人ぞ知るスズキの上級セダン、キザシ。
当時、他社の同クラス車種と比較するとパワー面において物足りなさを感じるという指摘もありましたが、一方でハンドリングの良さやマッシブでスタイリッシュなデザインは高く評価されていました。
販売数が少ないため現在は中古市場でも台数が少なくなっていますが、気になる人は一度探してみるのも面白いでしょう。
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