不人気車じゃなかったのに… ホンダ「オデッセイ」なぜ一度廃止された? 中国からの輸入車として日本復活した事情とは
一度は販売終了したホンダ「オデッセイ」でしたが、国内での販売が再開されました。従来型とは異なり、中国からの輸入車となりますが、どのような事情があったのでしょうか。
2年ぶりに「オデッセイ」が帰ってきた!
ホンダは、高級ミニバン「オデッセイ」を2023年12月8日に発売しました。
オデッセイといえば、ミニバンブームの火付け役ともいえる存在ですが、5代目モデルが2度目のマイナーチェンジをおこなった1年後に、惜しまれつつ販売終了したモデルです。
それが2年後に国内市場に再登場したのですが、フルモデルチェンジモデルではなく、従来型の5代目モデルを一部改良して復活させました。
一度廃止されたオデッセイが、再び販売されることになった背景には、どのような事情があったのでしょうか。
オデッセイはホンダの狭山工場で生産されていましたが、同工場が4輪車を終了することになり、これに伴い2021年12月をもって国内販売も終わりました。
オデッセイ終了に反対する意見は、ホンダ社内と販売会社の両方で根強くありました。
車両の生産終了に伴って工場も閉鎖するなら理解できますが、狭山工場の都合で商品の生産を終えるのは理屈に合いませんし、「ステップワゴン」のように別の工場に移管することも可能でしょう。
そして、国内販売を終えた時点で「中国からオデッセイを輸入するかも知れない」という話が聞かれ、これが現実になって、国内販売を復活させたのです。
新型オデッセイは、2020年マイナーチェンジモデルをベースに、デザインや快適性、機能面などの改良を図りました。
フロントグリルを新デザインとしたほか、エレクトリックギアセレクターの採用や、2列目シートはオットマンとリクライニングを電動化し、シートヒーターやセンターテーブル、USBチャージャーなどを備えた豪華なキャプテンシートを新採用するなど、高級感をアップさせています。
また先進運転支援機能「ホンダセンシング」は近距離衝突被害軽減ブレーキやオートハイビーム、急アクセル抑制機能を追加するとともに、フロントカメラの広角化を図り、検知範囲を拡大。
このほか、車載通信モジュールを用いた新世代コネクティッド機能「ホンダコネクト」をオデッセイとして初搭載するなど、さまざまな面で改良が施されました。
そもそもオデッセイは、販売を終えるべき不人気車ではありませんでした。2020年11月にフロントマスクまで変更するビッグマイナーチェンジをおこない、翌2021年の登録台数は、対前年比が2倍以上に増えました。
1か月平均は1762台で、軽自動車の「N-BOX」ばかり売られる昨今のホンダでは、数少ない利益の多い車種だったのです。
販売会社からも「オデッセイは利益が高く、乗り替え需要が多いため大切に売っている」という話も聞かれました。
それを工場の都合で2022年に終了したのですから不可解だと言わざるを得ません。
しかも販売の終了から、中国製の輸入開始まで約2年が経過しており、販売店からは「オデッセイのお客さまが、他社の上級ミニバンに乗り替えている」という話も聞かれ、タイミングの遅さも指摘されました。
ホンダは「シビック」一度廃止して復活させていますし、「CR-V」は廃止と復活、再び廃止という経緯を辿りました。オデッセイの扱い方も場当たり的な印象が強いです。
中国製を輸入するならもっと早い時期に開始して、受注の空白期間が生じないように配慮すべきだったともいえますが、根強い人気車種であるオデッセイが国内で復活するのはファンにとっては喜ばしいことなのではないでしょうか。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
只の企業メンツ
2020年のビッグマイナーチェンジと同時に、中国生産に切り替えられたら良かったのにね…
狭山工場閉鎖は前から決まっていた事だし