クルマの足回りってどんな感じで作られる? カヤバの「工場と開発センター」を見て感じたコトは
携帯から制御「セミアクティブサスペンション」
続いては、直線路のテストコース上で、「セミアクティブ」、「フルアクティブ」それぞれのショックアブソーバにも試乗しました。「セミアクティブ」を装着していたレクサス「ES」では、手元のスマートフォンからアプリ経由で減衰力設定を変えられる点が特徴です。今回はステアリング応答性といったところより、足の硬軟のパラメータで両極を試せたのみだったのですが、段差を乗り越えた時の入力が明らかに変化して、ドライバーはもちろん眠りかけの乳幼児や、車酔いしやすい子どもなど、一般に前席ほど乗り心地がよくない後席の乗員に有効と感じました。また、スマホひとつで操作できるので、車内からすぐ減衰力設定を変えられるところも面白いです。
「フルアクティブサスペンション」は完全に異質!?
フルアクティブのサスペンションはまた完全に異質というか、異次元の快適性を創り出していました。試乗車はBMW「5シリーズ」のアクティブハイブリッドで、重量もそれなりにかさむモデルのはずですが、波状路を70km/hで通過する際の乗り心地たるや、なぜフワリフワリとした揺動感が持続するのか、理解も体感も想像を超えていました。波状の路面に対して不快と感じる振動をカットすることで、バネ上つまりボディの上下動を抑えているようです。この技術はハイエンド・モデルの快適な乗り心地を支えるだけでなく、将来的に自動運転などのモビリティ空間に向けた「振動絶縁技術」になりうるのです。
電動車あるいはEVだからこそ、水も油も要らなくなるというのは、もはやデマに近い妄想で、むしろセンシングや高度情報化が進んでも、ヴィークル・ダイナミクスの要となるショックアブソーバといったパーツの重要度は増すことを確信しました。そもそも自動運転が実現されたとしても、安定して走れないモビリティ空間に身を任せ生命を預けることなど、できるはずもないのです。
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