もう最後…伝統的「スポーツカーブランド」の“終焉イベント”実施!? 「FF最速ホットハッチ」の系譜はアルピーヌへ
2023年11月25日、ルノーは、袖ケ浦フォレストレースウェイにて「R.S. ULTIMATE DAY」を開催しました。このイベントはR.S.(ルノー・スポール)ブランドの有終の美を飾る機会としても行われたものです。どのようなイベントだったのでしょうか。
ルノー・スポールの終焉…その系譜はアルピーヌへ
2023年11月25日、袖ケ浦フォレスト・レースウェイで「R.S.アルティメット・デイ」が開催され、のべ300台超のルノー・スポール車とオーナー、そしてプレスが集まりました。
すでにフランスのルノー・グループ全体の指針として、「R.S.(ルノー・スポール)」というブランドはアルピーヌに上位統合されることがアナウンスされていますが、1970年代のルノー・スポール創設当時からして、やや端折り気味にいえば「(アルピーヌ+ゴルディーニ)×ルノー本社=ルノー・スポール」で、初代総長はかのジェラール・ラルース先輩でした。
今もアルピーヌF1のファクトリーがあるのはゴルディーニの元工場跡地ですし、アルピーヌのディエップ工場では1990年代より「ルノー・スポール・スピダー」や歴代「ルーテシアR.S.」を生産するなど、人材もノウハウも完全にルノーと一体化したところに、今日のルノー・グループ再編成の一環としてアルピーヌを頂点に据える体制となったのです。
とはいえルノー・スポールといえば、歴代「メガーヌR.S.」や「ルーテシア2~4」までのR.S.を見ればわかる通り、超タイムアタック・スペシャリストなモデルでもない限り、後席も荷室もある実用車でもあったワケです。
それを今のところ現行A110という2シーターしかないアルピーヌで代替できるはずもなく、ハッチバックやSUV、さらに5シーターとおぼしきスポーツセダンまでコンセプトをアルピーヌが矢継ぎ早に発表しているのは、従来のルノー・スポール顧客を決して見捨てるつもりはない、というサインでもあります。
前置きが長くなりましたが、実用車でありながら本気のスポーツ性を実現させた「ホットハッチ」の名門として、ルノー・スポールは日本市場で確たる存在感を築き上げました。
その名を名のる市販モデルは2023年いっぱいとなりますが、ブランドの有終の美を飾る機会として行われたのが、今回の袖ヶ浦でのサーキット・ミーティングでした。
そこで、これまでも事あるごとに、R.S.モデルのプロモートやトレーニングのために来日していた、シャシー・エンジニアのフィリップ・メリメ氏と、開発ドライバーにしてニュルブルクリンクのタイムアタックを担当したロラン・ウルゴン氏も、フランスから駆けつけたのです。
朝一番の記者会見における質疑応答で、メリメ氏とウルゴン氏のコメントからとくに印象に残った点は3つ。
まずモータースポーツのノウハウやテクノロジーを、人々が公道で走らせるモデルに落とし込む・手にできるようにするというルノー・スポールの理念を、開発としてかなりやり切ったという充実感がひとつ目。
例えば実際、現行のメガーヌR.S.に搭載された4コントロールつまり後輪操舵は、ハイエンドな後輪駆動もしくは4WDのスポーツカーには存在したものの、FFのホットハッチで実現してしまうのは、まさしく飛び道具的でした。
結果、駆動と操舵の双方でタイヤに負担がかかるというFFの弱点を、4輪を使って曲がるようにすることで究極のハンドリングマシンに変えてしまったのです。
ふたつ目はウルゴン氏が、ホンダ「シビック タイプR」の完成度の高さに賛辞を送りつつ、欧州勢のセアト「クプラ」のような他ブランドを含めニュル・タイムアタックという絶対値的な指標による競争を打ち立て、リードしてきたという自負をチラと覗かせたこと。
「数億円とか手に入らないスーパーな車で7分どれだけ切れたか?」より、FF最速のホットハッチというのはやはり別の意味でグッと来るタイトルで、ルノー・スポールは家元ということです。
そして3つ目は、開発中の次世代アルピーヌ「A110」ことEV版に話が及んだとき。EVでスポーツカーを造るのは正直、無理筋だと思っていたと二人ともあっさり白状しつつも、今や逆に異なるドライビング・プレジャーを追求した面白い車になりつつあるという自信を深めた、というのです。こればっかりは近い将来、確認する他ないとはいえ、楽しみですね。
日産から吸い上げた大金が高性能車の開発資金だったが、それが無くなった後は電気自動車とかで誤魔化してくのかな?