もはや“操縦桿”!? ホンダの斬新ハンドル採用「2シータースポーツカー」!めちゃカッコイイ“デザイン”は現実に? 全長3.6m級の「EV-STER」とは
モーターショーなど、様々な自動車イベントでは多くのコンセプトカーや新型車が発表され、人々の注目を集めます。2011年に開かれた「東京オートサロン2011」では、ホンダがスポーツカーの「EV-STER」を出展しました。どのようなクルマだったのでしょうか。
あり得ないと思われたけど現実に? ホンダ「EV STER」
モーターショーに出展されるコンセプトカーは、間もなく登場する車両を予告するティザー的な意味を持つものから市場の反応を見るためのもの、そして完全にコンセプトのままで終わるモデルまで幅広いものとなっています。
2011年に開催された第42回東京モーターショーのホンダブースに展示された1台のコンセプトカーも、当時は実際には販売されない夢物語のクルマという見方が強いものでした。
その車両は「EV STER」。車名からも分かるように電気で走るEVで、ボディサイズは全長3570mm×全幅1500mm×全高1100mmと軽自動車枠を僅かに超え、オープン2シーターのロードスターボディを持つ「スモールEVスポーツ」でした。
最高出力58kWを発生させるモーターは後輪を駆動させ、最高速度は160km/h。ボディには軽量なカーボン素材を採用し、高い運動性能と約160kmという航続距離を実現したとされており、ボディはスポーティなタルガトップデザインの形状をまとっていました。
インテリアに目を移すと、運転席にはメーターディスプレイの左右にも小型のディスプレイが並ぶ3連ディスプレイが目を惹きます。当時の説明によると中央がメインのメーターディスプレイで、左側がナビゲーション、右側が車両情報をそれぞれ表示するとされ、モーターの出力特性やサスペンションの設定を自由に調整できるといいます。
そしてステアリング(?)には操縦桿のような形状のものを採用。現在ではレクサス「RZ」やテスラ車にも操縦桿タイプのステアリング(ヨーク型)が採用されていますが、EV STERのものはこれらよりも飛行機に近いものが採用されており、これも現実味を感じさせない要因となっていました。
また2011年と言えば初代リーフが登場して間もない時期であり、完全な電気自動車の時代はまだまだ先と思われていたタイミングであったことも実際には販売されないモデルという見方がされた大きな要因と言えました。
実際、2023年の現在においてもEV STERのように後輪を駆動するオープン2シーターの電気自動車がホンダからリリースされることは叶っていませんが、このEV STERのデザインをほぼ踏襲したモデルが2015年に「S660」という名前で販売されているのはご存じの通りです。
では、EV STERはS660を出す前のディザーモデルだったのかというと、決してそういうわけではなさそうです。というのもS660が生み出されるきっかけとなった、2010年の社内コンペに登場した「ゆるスポ」なる試作車は、EV STERとは全く異なるデザインをまとっていたから。
その後、実際にS660が市販化に向けて動き出す中で、EV STERに寄せられた「軽自動車サイズで出してほしい」という意見を汲み上げる形でEV STERのデザインとほぼそのまま踏襲したS660が生まれたということになるのです。
このように完全にコンセプトで終わるかと思われたモデルでも、反響次第でその要素を持った車両が世に送り出されることもあるようです。2024年1月にはカスタムカーの祭典「オートサロン」も控えますが、今後もどんなコンセプトモデルが実現するのか楽しみにしたいところですね。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。