冬は「バッテリーの突然死」にご注意! 寒さでクルマのトラブル発生しがち? 不具合を防ぐ方法は?

夏は猛暑でクルマのトラブルを誘発しやすいのですが、冬の寒さでも同様に、トラブルが発生するリスクが高いといえます。寒さに備えた点検とメンテナンスとして、どのようなことをやっておいたら良いのでしょうか。

寒さに弱い「バッテリー」冬は消費量も増加してトラブル発生も

 夏の猛暑ではクルマのトラブルが起きやすいと言われていますが、冬の寒さもトラブルを誘発する原因になりやすいのです。
 
 冬にはどのようなトラブルが起こりがちなのでしょうか。冬に起こりやすい不具合や注意すべきポイントを、千葉県の整備工場に務めるI整備士に聞いてみました。

冬はクルマのトラブルが発生しがち(イメージ)
冬はクルマのトラブルが発生しがち(イメージ)

「冬ならではのトラブルとしては、やはりバッテリー関連が多いと想定されます。冬は夏同様にエアコンをフル稼働させるケースも多いうえに、気温低下によってバッテリー自体の放電力が弱くなってしまうことも影響しています」

 スマホなどもそうですが、バッテリーを使用している機器は、気温低下によって放電力の低下が見られるといいます。

 クルマのバッテリーは、エンジンを始動させたりライトやメーター、エアコンなど様々な電装品へ電力を供給することから、バッテリー上がりを起こしてしまうと「なすすべ無し」という事態に陥るのです。

「日没が早まり、エアコンやライトなど電装系の使用時間が長くなることによる影響もあるでしょう。急に冷え込みが厳しくなると、さらにバッテリーには厳しい状況が続いていると想定されます。

 エンジンの始動でセルモーター(スターター)の回転がにぶいと感じる場合は、早めにバッテリーの状態をチェックするか、新品に交換することをお勧めします」(I整備士)

 また、寒い冬であっても、意外にもクルマがオーバーヒート気味になることもあるようです。

 I整備士いわく、夏に酷使した冷却水(クーラント)が減少していることがあり、リザーブタンクをチェックもしてほしいとのことです。

 さらには、冷却水には不凍液など添加物が含まれていますが、ごく稀に濃度が薄くなって凍結してしまうこともあります。

 そうなるとラジエーター内の冷却水が冷えず、エンジンの放熱効率が低下。結果として、オーバーヒートの症状を引き起こす可能性が高くなってしまうのです。

 液体類では、ウォッシャー液も出にくくなっている可能性があります。氷点下に近い温度まで下がる地域では、ウォッシャーノズルが凍結してしまい出にくくなることも。出ないからといって無理矢理作動させると、今度はワイパーを傷める原因にもなってしまいます。

「可能なら、冬の間だけでも濃度を高くしたり凍結しにくい寒冷地用のウォッシャー液に交換すると良いでしょう。

 特にウインタースポーツなどで雪山などに行かれる予定がある人は、スタッドレスタイヤを装着するだけでなく、液体類の量や状態をチェックして、細かいトラブルを減らすよう事前に準備しましょう」(I整備士)

 加えて、エンジンオイルも寒くなると硬くなる傾向があるようです。一般的なクルマは「5W-30」程度の粘度のオイルを使用しているケースが多いとされていますが、交換するならどのようなオイルが適しているのでしょうか。

「『○W』は低温時の使用可能な温度(粘度)を表し、数字が小さいほど低温でも柔らかさをキープしてくれるということになります。

 後半の2桁は高温時の粘度を表し、数字が大きいほど高温時でも性能の劣化が少ない、つまり暑さに強いオイルということになります。

 エンジンオイルの劣化は燃費や回転フィーリングにも大きく影響するので、小まめな点検と定期的な交換がおすすめです。

 入れ替えるとしても、よほどの豪雪地帯でなければ『10W-30』程度の粘度を選べば問題ないでしょう」(I整備士)

 クルマの冬対策としては、気温の低下がもたらす影響をどれだけ減らせるかがポイントになりそうです。

※ ※ ※

 ほかにも、見逃しがちですが、ゴム製の保安部品(ウェザーストリップなど)も傷みやすい箇所です。寒いと硬化しやすく、状況によっては割れたり裂けたりしてしまうこともあります。

 事前にゴム製品用の保護材などを塗布して、ゴム製パーツの劣化を遅らせるのも冬対策としては意外に効果が高いです。

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