まもなくWRC最終戦「ラリージャパン2023」開催! 注目は日本人ドライバー勝田貴元選手! ラリーを通して伝えたいメッセージとは?

勝田選手がラリーで伝えたいこととは?

 勝田選手は、ラリーを通してファンやクルマをまだ知らない人たちに伝えたいこともあるといいます。どのようなことなのでしょうか。

「シンプルに『クルマってこんなにカッコいいんだよ』って伝えたいですね。

 クルマを作るためにこれだけのメカニックやエンジニアの人が関わっているんだよというのを現地で見てほしいなと思います」

 ラリー競技は多くの場合、閉鎖された一般道を市販車ベースに競技向けの改造が施されたマシンで走行します。

 コース内をタイムアタックするため、砂ぼこりや水しぶきを上げて走行する姿に圧巻され、心を動かされる人も多いといいます。

 しかし、実は迫力だけがラリーの魅力ではありません。

 こうした競技で培われたノウハウは、一般のユーザーが乗る市販車にも生かされているのです。

 また、ラリーでは助手席で前方状況をナビゲーションするコ・ドライバーと二人三脚でゴールを目指すことも特徴です。

 さらにモータースポーツに共通することとして、ドライバーひとりで成立するものではなく、最高のパフォーマンスを発揮できるようにクルマを開発するエンジニアや、いかなるトラブルが発生しても慌てずに対処するメカニックにより支えられています。

 勝田選手はラリーを通じて、多くの人が携わってクルマが成り立っていることについても伝えたいという気持ちが強いようです。

 さらに、安全についても学んで欲しいといいます。

「ラリーカーって、全開で狭い山道を走っているときもあれば、公道を一般車に混じって走っているときもあります。

 その時は交通ルールももちろん守っていますし、安全第一を考えています。

 このギャップというか切り替えはたぶん衝撃だと思います。派手なクルマがゆっくり走っていて、それを山道まで持って行ってクレイジーに走るという。

 でも、運転手がどう扱うかで安全で楽しい乗り物になるときもあれば、逆に凶器にもなるっていうことを理解しなくちゃいけないんです。

 それって競技に関係なくすごく重要なことなので、モータースポーツを通じて安全運転についてもつなげていければと思います」(勝田選手)

 ラリーは過酷な道を走行するため、常に予期せぬアクシデントとはつきものの競技です。

 大きなクラッシュによりリタイヤせざるを得ない場合や、大きな怪我を負うこともあります。

 さらに、SS間は一般道を走行して移動する(移動区間をリエゾンという)のも特徴で、その場合は各地域の法規にしたがって走行しなければなりません。

 こうしたことから、決まりを守って走行し安全に目的地まで完走するという点についても注目して欲しいといいます。

「クルマの存在意義って、目的地まで安全に人を運ぶことだと思います。

 しかし、それはラリーでも一緒で、『あの選手はあんなテクニックを持っているのに公道ではこんなに安全運転なんだ』って思ってもらいたいです。

 状況にあった運転をすることで事故は防げると思います。モータースポーツを通じて、そんな点にも感じてもらいたいなと思います」(勝田選手)

2022年の「ラリージャパン」の様子
2022年の「ラリージャパン」の様子

 さらに、ラリー競技の楽しみ方を選手ならではの視点から説明してくれました。

「ラリーの場合は一台ずつのタイムアタックをします。サーキットで行うレースよりもドライバーによって走らせ方がぜんぜん違います。

 例えば、あるドライバーは横滑りしながらコーナーを抜けていくのに、別のドライバーはグリップしながら走らせるとか。本当にドライバーそれぞれでスタイルが違います。

 そのなかでもタイムはコンマ何秒しかタイムが違わないので、そこを見てもらえれば面白いと思います」(勝田選手)

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