きっかけは都市伝説!? ホンダの本格エンジン音を「ぬいぐるみ」に採用 「2代目NSX」が選ばれた理由は
タカラトミーアーツのぬいぐるみ「赤ちゃんスマイル ホンダ・サウンドシッター」が登場。最大の特徴は、スポーツカー「NSX」のエンジン音が流れるというものですが、どのような意味があるのでしょうか。
実際に赤ちゃんに渡したら想定外の結果に
ホンダのスポーツカー「NSX」のエンジン音が流れるぬいぐるみが、2023年10月28日に発売されました。このぬいぐるみの特徴は、本格的なエンジン音の再現にこだわったこと。そして音も、数あるクルマの中からNSXを選んだといいます。なぜ、NSXなのでしょうか。
今回、発売されたのは、タカラトミーアーツのぬいぐるみ「赤ちゃんスマイル ホンダ・サウンドシッター」です。
見た目はホンダの往年の名車「S600クーペ」をモチーフとした赤いクルマのぬいぐるみですが、ボンネット付近を押すと、内部のサウンドユニット(音声再生装置)から2代目NSXの「ヴォォォン」というエンジン音が約45秒流れます。
ただしこれ、よくある他の「音の出るぬいぐるみ」とは一線を画した“こだわり”があります。「クルマのエンジン音」や、それにNSXが採用されたのにも、しっかりとした理由があるのです。
ホンダは2018年、クルマのエンジン音が、胎児の聞く胎内音(妊婦のお腹の中で聞く音)に近いという研究結果を発表しました。
きっかけは、「ぐずる赤ちゃんは、クルマに乗ると機嫌が直る」という都市伝説です。本当に機嫌が良くなるのか、良くなるとすればなぜなのかを調べるため、ホンダは生後5か月から1歳半の乳幼児12人を集め、実験をしたのです。
結果、クルマのエンジン音と胎内音の周波数が近いことが判明。泣いている乳幼児にエンジン音を聞かせたところ、12人中11人が泣き止み、7人の心拍数が安定する結果が得られたといいます。
では、どのクルマの音が、胎内音により近いのでしょうか。
30車種以上のホンダのエンジン音を収録し分析すると、2代目NSXの音が胎内音の波形に最も近かったそうです。
つまりこのぬいぐるみは、ぐずり泣きしている赤ちゃんにこのNSXのエンジン音を聞かせて、懐かしい胎内音を思い出してもらい、「安心と笑顔を引き出すお手伝いをする」というものなのです。
商品化は、タカラトミーアーツがこのユニークな研究に注目しスタートしました。
赤ちゃんがなめても、かぶりついても、投げても、叩いても大丈夫なよう、安全性と耐久性を確保。さらにサウンドユニットを外して本体を丸洗いできるようにしたほか、洗っても型崩れしないように作られています。
サウンドユニットも、玩具の安全基準に合わせつつ、ぬいぐるみの中から再生しても聞こえるよう専用に設計。そのうえでサウンドヒーリング協会協力のもと、音量や音質を調整したそうです。
発売に先駆けて、2023年6月には「日本おもちゃ大賞」エデュケーショナル・トイ部門の大賞を受賞しています。赤ちゃんにもっと安心を、家族にもっと移動する喜びを与え、親子がともにワクワクし成長していく過程に寄り添う商品ということが高く評価されました。
タカラトミーアーツによると生産数は公表できないものの、生産数は当初予定より倍に増やしたそうです。
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ちなみに、このサウンドシッターを、編集部の記者の子に渡してみました。
11か月の子どもは、その時は機嫌が良く、手に取ったサウンドシッターを両手で抱えながら興味深く見ていましたが、ボンネットを押したときに流れ出したエンジン音に驚き、泣き出しました。
ほどなくして泣き止み機嫌も直りましたが、サウンドシッターを「要警戒」と認識したのか、間合いを取るように。親が差し出しても手を突っ張って遠ざけるなど、大人の狙いとは正反対の反応となってしまいました。
結果は、親の思い通りにならないものでしたが、サウンドシッターを差し出すタイミングや音を流す段取りを慎重に進めれば、違った結果になったかもしれません。本人のご機嫌を伺いながら、もう一度試してみようと思います。
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