日産が新型「車中泊」仕様車を発表! なぜ「メーカーみずから」手がけた!? 本格キャンピングカーとの「すみわけ」とは

コンセプトは「お気に入りの部屋ごと自然に持ち込む」!?

 日産では新型キャラバン マイルームの市販化に先駆け、2022年1月に「どこでもMY ROOM」をコンセプトに掲げた「キャラバン マイルーム コンセプト」を発表しています。

 このコンセプトカーはカスタムカーイベント「東京オートサロン」や、各地で開催されたキャンピングカーショー会場などに参考出品し、市販前提であると伝えたうえで、来場者などからの意見を積極的に集めたといいます。

オリジナルで開発された「2in1シート」。写真のように座面をフラットに固定できるほか、走行時に快適な着座が出来るよう、座面角度を後ろに下げるモードもあります
オリジナルで開発された「2in1シート」。写真のように座面をフラットに固定できるほか、走行時に快適な着座が出来るよう、座面角度を後ろに下げるモードもあります

 谷内主管は、その反響についてこう説明します。

「イベントでは、若いユーザーを中心に大きな反響をいただきました。

 なかでも、キャンピングカー専売店ではなく『日産の販売ディーラーで買える』、つまり購入時の敷居の低さに対して反響が大きかったのが特に印象的でした」

 そして今回発表された新型キャラバン マイルームは、そうした声を踏まえ誕生しました。

 コンセプトは「自分のお気に入りの部屋ごと自然の中に持ち込んでリラックス(憩うことが)できるクルマ」。

 室内はコンセプトカーの雰囲気そのままに、木目をふんだんに盛り込むことで「クルマの内装感」を徹底的に消し、シンプルでオシャレな空間を目指しました。

 谷内主管は「景色の良い旅先で仕事をしたりするワーケーションにも活用できる仕様としました」と話します。

 ポータブルバッテリー電源や、キャンプ場などの外部給電システムを用いることで、エンジンが停止した状態でも車内のAC100V電源が使用できる仕様となっています。

 室内のスライドテーブルは車内の好きな位置で固定できるほか、多彩なシートアレンジと組み合わせることで、リビングからベッドルームまで自在に変化します。

 なかでも、2列目席の「2in1シート」は、日産独自に開発した力作だと谷内主管は話します。

 シート座面は、表裏で表皮の硬さを変えた業界初の試みを取り入れました。

 走行時には前方に向け程よい硬さで乗り心地を保ち、駐車時には後方へ反転させた際には、ソファのような柔らかさを与えました。

「シートの開発者は、家庭で使うソファの研究も熱心にしていました。他にも開発者たちは文字通り『部屋』を開発するかのように、楽しくワイワイと議論を重ねていました」と谷内主管は話します。

 前後に反転するシートの仕組み自体は、市販のキャンピングカーなどにも採用例がありますが、これらは操作に大きな力が必要だったり、大きな操作音がするなどの難点があったといい、女性ユーザーなどから改善を求める声を聞いていたといいます。

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