車に「鉄粉」が刺さる? 線路沿いは要注意! 放置するとボディがサビることも… 除去方法は?

知らぬ間に付着した「鉄粉」 どうやって除去する?

 塗装面に悪影響しかない鉄粉。除去方法として、カー用品店などでも鉄粉除去用製品は数多く販売されており、大別すると液体タイプと粘土タイプ(トラップ粘土)があります。

 どちらも有効な手段なのですが、どちらにも一長一短あるようです。

ボディに塗布した鉄粉除去剤が反応し、色が変化した様子
ボディに塗布した鉄粉除去剤が反応し、色が変化した様子

「多くの情報サイトや雑誌などで『トラップ粘土』を推奨する記事を見かけますが、使い方次第では逆に塗装面を痛めてしまうこともあるんです。

 というのも、トラップ粘土には表面にこびりついた『鉄粉』を吸着する効果があるのですが、同時に研磨剤も含まれています。

 通常は水をかけながら粘土内に『鉄粉』を取り込み、内側に押し込みながら使用しますが、そのさいに塗装面に研磨剤で小さな傷をつけてしまうんです」(H整備士)

 つまりトラップ粘土での鉄粉取りは、効果は高いもののボディ表面も研磨してしまうため、使い方によっては一部分だけ擦り過ぎてムラができたり、表面のクリア層を痛める原因にもなってしまうのだとか。

「一方で液体タイプの鉄粉除去剤は、こびりついた鉄粉を溶かす性質を持っています。ただし塗装面へのダメージを抑えるため、市販品はあまり強力ではありません。

 通常は鉄粉除去剤を塗布後、5~10分待って、再度洗車する施工方法になりますが、塗装面へのダメージを抑えるため、我々プロが使うものと比べるとあまり強力ではありません」

 それでもカーシャンプーでは取れなかった鉄粉をある程度溶かし、マイクロファイバーなどの柔らかい布で拭き上げる方法なら、効果は限定的ながら塗装面を痛めにくいという特徴があるので、塗装を痛めたくない方にはおすすめの方法になります。

「この鉄粉除去剤ですが、さらに除去効果を高めるならスポンジに似た形状の鉄粉除去パッドと組み合わせるという手もあります。

 ただしこれも塗装面を若干痛めてしまう可能性がありますので、まずは塗装面に1番損傷が少ない鉄粉除去剤を使い、鉄粉の取れ具合に応じて、段階的に強力なトラップ粘土などを使うのがいいと思いますよ」(H整備士)

 これは傷消しでコンパウンドを使用するのと同じ原理で、まずは効果が弱くてもボディを痛めにくいもの(この場合は鉄粉除去剤+柔らかい布)から試し、塗装面への影響を考えながら少しずつ効果の強いもの(専用の鉄粉除去パッドやトラップ粘土)を使っていくというのが良いとのこと。

「また鉄粉除去をすると、表面のコーティングが一部取れてしまう可能性もあります。作業後は改めてコーティングなどで塗装面を保護するのを忘れないでください」(H整備士)

※ ※ ※

 ボディに付着する鉄粉は、ボンネットやルーフはもちろん、ブレーキディスクに近いホイールハウス周辺などにも多く付着しているといわれています。

 秋から冬に向けてコーティングをする前にボディの下処理として、鉄粉除去しておくといいかもしれません。

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