全長4.2m級で「ド迫力ウイング」装備! 日産の斬新「2ドアスポーツクーペ」あった! 市販化期待も高まった「若者向けモデル」とは?

1997年の東京モーターショーでは、日産は斬新な2ドアクーペSUVを披露していました。どのようなモデルなのでしょうか。

登場早すぎた? 斬新「クーペSUV」

 国内最大の自動車展示会「東京モーターショー」ではさまざまな新型車やコンセプトカーが発表されてきました。次回の開催は2023年10月ですが、名称が変更されて新たに「ジャパンモビリティショー」として開催されます。
 
 そんな東京モーターショーのなかでも、1997年の第32回で日産は派手なリアウイングを持つ4人乗りの2ドアクーペSUVを出展していました。

迫力のリアウイングと斬新な格納方式のスペアタイヤを装備
迫力のリアウイングと斬新な格納方式のスペアタイヤを装備

 1997年10月24日から11月5日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で第37回東京モーターショーが開催されました。

 1997年は、国内では山一證券や北海道拓殖銀行が経営破たんし金融不安が広がったことや、消費税5%がスタートしたほか、長野新幹線と東京湾アクアラインが開通。海外ではアジア通貨危機や香港が中国に返還されるなどの出来事が起こった年です。

 東京モーターショーでは、乗用車と商用車が一体になったメーカー別展示に変更。展示規定が緩和され、2階建てが可能になるなど、新たな取り組みが行われたほか、海外メーカー各社もワールドプレミアのモデルを多数用意するなど、盛り上がった回でした。

 日産では「もっと日産になる」をコンセプトに、4台のコンセプトカーと2台のレーシングカーを含む15台のモデルを展示。そのなかの1台に「トレイルランナー」というコンセプトカーがありました。

 トレイルランナーは、「次世代の若者が自らのライフスタイルを表現するためのパートナーとして、日産が提案する斬新な近未来的スタイルの4WDスポーツスペシャリティクーペ」と当時説明しています。

 ボディサイズは全長4230mm×全幅1760mm×全高1410mm、ホイールベースは2435mm。最低地上高は200mmを確保しています。

 エクステリアデザインは、スポーツクーペとSUVを融合させたようなスタイリングで、大きなリアウイングとルーフスポイラー、たくましさを感じさせる盛り上がった前後オーバーフェンダーが目を惹きます。

 フロントは丸目4灯で、バンパー下部にはスキッドプレート形状のプロテクターを装備。リアにはスペアタイヤが格納されていますが、トレイがせり出して取り外すという極めて斬新なギミックも搭載しています。

 インテリアは若々しさを感じさせるイエローとライトグレーの2トーンカラーで、インパネから手すりのように伸びたシルバーのスイッチパネルにはナビやエアコンの操作が集約されています。

 パワートレインは最大出力190馬力・最大トルク20kgmを発揮する2リッター直列4気筒「SR20VE」エンジンに6速マニュアルモード付き「ハイパー CVT-M6」を組み合わせ、駆動方式は「アテーサ」4WDとなっていました。

 現在でこそクーペSUVのスタイリングは珍しくありませんが、当時はまだ本格四輪駆動車でも「ランドクルーザー」や「パジェロ」などワゴン型が人気を博していた時代です。

 そこにクーペスタイルを持つ新たな四輪駆動車スタイルの提案として登場し、意欲的な存在だったトレイルランナーでしたが、直接的な市販モデルは登場していません。

 一方、“若者向けのSUV”としてはのちに「エクストレイル」が登場。名前こそ少し似ているものの、スポーティなフォルムのトレイルランナーとは全く異なる実用性を重視したコンセプトで、比較的安価な価格や手頃なサイズ感などと相まって人気モデルとなりました。

※ ※ ※

 このトレイルランナーのように市販化が叶わなかったものの、後に登場する市販車にコンセプトモデルの一部機能やデザインが活かされているケースも数多く存在します。

 59年ぶりに名称が変更されて新たに生まれ変わるジャパンモビリティショーでは、新時代のクルマへ大きな変化をもたらすコンセプトカーの登場に、ますます期待が膨らむばかりです。

【画像】「えっ…!」 これが「斬新すぎる2ドアクーペ」です! (24枚)

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