STIパーツ追加でスバル「クロストレック&インプレッサ」の走りが変わった!? ノーマルより良い! 驚きのカスタムとは

STIパフォーマンスパーツを装着したスバル「クロストレック」「インプレッサ」に試乗しました。どのような走りの変化を感じられたのでしょうか。

STIのパフォーマンスパーツって一体何?

 クルマの基本性能に「車体」が大きく影響します。そこに誰よりも注力していたのが現在スバル「STI・NBRチャレンジ」で総監督を務める辰己英治氏です。
 
 辰己氏は富士重工業時代から先行開発でさまざまなトライをおこなってきました。

STIパフォーマンスパーツを装着したインプレッサ&クロストレック
STIパフォーマンスパーツを装着したインプレッサ&クロストレック

「車体の剛性は大事なのは言うまでもありませんが、『どこまで上げたら満足なの?』という疑問が私の中にありました。

 そんな疑問の中で欧州車の車体や補剛パーツを調査すると、パネルの組み合わせなどはどう見ても剛性を上げているように思えない箇所があり、つまり、車体は硬いところと柔らかいところが必要なんだと。

 ただ、車体というのはそう簡単に変更することはできませんが、何とかしたいなと思いました」(辰己氏)

 そのアイデアをSTI(スバルテクニカインターナショナル)に転籍して具体化させたアイテムのひとつが「フレキシブルタワーバー」です。

 タワーバーはストラット左右を繋ぐことで剛性を上げるパーツの定番ですが、辰己氏はこのタワーバーの左右をピロボールで繋ぎました。要するに、左右方向に対してはガッチリ支えますが、上下方向は外圧を適度に“いなす”構造としたのです。

 その効果は絶大で、乗り心地を一切犠牲にすることなくハンドリングのレベルを引き上げることに成功。それも限界域ではなく日常域においても誰でも実感できるものでした。

 通常のタワーバーの約2倍から2.5倍の値段ながらも、「サスペンションを変えることなく走りが変わる」「運転が楽になる」という高い評価も相まって、発売から10年で累計10万本を記録するなど、アフターパーツとしては異例とも言える大ヒット商品となったのです。

 その後も辰己氏の車体に関する探究は止まることなく、新たなアイテムが開発されました。それが「フレキシブルドロースティフナー」です。

 これは補強アイテムだと思っている人が多いですが、そうではなく、「Draw=引っ張る」の意味の通り、車体に適度なテンションをかけることで応答性を高める効果があります。

 辰己氏は「勝負はステアリングを切った瞬間の動き」と語っていますが、フレキシブルドロースティフナーはまさにそこに大きく作用するアイテムになります。

「車体やサブフレームは板金で作られているので完全な剛体ではないことから、ヒステリシス(僅かなたわみや戻り)があります。それはコンマの世界の話ですが、ドライバーは『初期応答が鈍い』と感じます。

 そこで『ヒステリシス分をあらかじめ引っ張って取り除く』、これがこのパーツの役目です。

 具体的には車体に適度なテンションを掛けることで、徒競走で例えるとノーマルが『位置について』だとすると、フレキシブルドロースティフナー装着により常に『よーい』の状態なります。つまり、補強パーツではなく剛性コントロールパーツといったほうが良いです」とコメント。

 このフレキシブルドロースティフナーは、今ではフレキシブルタワーバーと並んでSTIチューンに欠かせないアイテムとなっています。

 そんなフレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナーを始めとするSTIスポーツパーツをフル装着した「クロストレック」と「インプレッサ」に試乗しました。

 これまで筆者(山本シンヤ)はこれらのアイテム装着のスバル車に数多くの試乗済み。その効果はすでに体感しているのですが、今回は期待半分、心配半分でした。

 その理由は、新型となったクロストレックとインプレッサはフルインナーフレーム構造のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用したモデルであるからです。

 辰己氏は「SGPは『良いクルマにするには車体はどうあるべきか?』と、私が富士重工時代に一緒にやってきたメンバーが具体化させたものです。

 さらに現行『レヴォーグ』から採用のフルインナーフレーム構造のSGPはさらに磨き上げられています。私も試乗しましたが、今までのスバル車とは質が違い、特にドライバーとの一体感は別次元だと感じました」と語っています。

 つまり、フルインナーフレーム構造のSGPはノーマルの時点でフレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナーの考え方が盛り込まれているということです。

 そのため、それらを装着したクロストレックとインプレッサがどれくらいの伸び代があるのか不安でしたが、試乗して数百m、交差点を2、3つ曲がると、「あれっ、やっぱり違う」と感じられました。

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