「Aichi Sky Expo」で初開催! 名古屋会場独自のイベントも実施された「人とくるまのテクノロジー展 2023 NAGOYA」

夏涼しく、冬は暖かい! AGCの最新ガラス技術

 ガラス素材メーカーであるAGCブースでは、自動車・モビリティ向けに多くの製品を展示。レクサスRZに採用されている「Low-Eコート付き調光パノラマルーフ」の実物が展示されていました。

レクサスRZに採用されている「Low-Eコート付き調光パノラマルーフ」
レクサスRZに採用されている「Low-Eコート付き調光パノラマルーフ」

 Low-Eは低反射の略称で、ガラスに特殊金属コーティングを施すことで優れた遮熱・断熱性能を発揮。夏は涼しく、冬は暖かさを保つことで、開放感をそのままに車室空間を快適に保つことが可能となっています。

 また、スイッチひとつで瞬時に透過光を調整可能な調光タイプとなっており、従来のガラスルーフ車両で必需品だったサンシェードを廃止。これはコスト削減、車体の軽量化、また頭上空間の確保にもつながるとしています。現地ブースではこの「Low-Eコート付き調光パノラマルーフ」の実物が展示されていました。

 このような多機能なガラスは相当に分厚いのではという先入観とは裏腹に、実際の製品はとても薄いことに驚きました。また、まぶしさを低減するために調光モードとなっている場合は、完全にシェードが覆われているような状態ですが、そこからスイッチの切り替えひとつで通常のガラスルーフのような透過モードに変わります。これはガラス内に特別なフィルムが挟まれ、そこに電圧を加えることでガラスが透明になる原理を生かしています。

 機能の拡充についてはOEメーカー(採用する自動車メーカー)の要望によって変わってくるとのことでしたが、クルマの機能の充実に期待感を抱かせる新技術でした。

AGCの「FIRカメラ搭載フロントガラス」
AGCの「FIRカメラ搭載フロントガラス」

 AGCのブースでは、ADAS(先進運転支援システム)関連製品である「FIRカメラ搭載フロントガラス」も注目されていました。FIRは遠赤外線の意味で、夜間にヘッドライトの照射範囲よりも遠い場所の人間や物体が検知可能となり、「ナイトビジョン」という名称で採用されている例もあります。 

 最近の可視型ADASカメラはフロントガラス上部に取り付けられる場合が多いのですが、FIRカメラはフロントグリルやバンパー内に搭載される例がほとんどでした。これはフロントガラスの透過率をクリアできる基準だと、FIRカメラの光を通すことができず、機能を働かせることができなかったためです。

 AGCはその課題に対し、FIRカメラの照射範囲のみを別部材のガラスに組み替えることで、フロントガラス室内側上部へのFIRカメラ搭載を実現。1枚モノのフロントガラスの一部のみを素材変更することは、生産性や耐久性など課題が多くあったそうですが、それらをクリアすることによって、上方位置への搭載が可能になり、より遠方の認識が可能になりました。またワイパーの作動範囲内であることから、悪天候時のカメラ前の洗浄なども別機器で対策する必要がなく、コストダウンも図れるようになったとのことです。

 フロントガラス上部には、現在ADAS関連のさまざまなカメラ、センサーが搭載されるようになり、いわゆる「場所取り合戦」状態となっていますが、AGCは自社の高いガラス技術を用いることでADAS関連製品の普及に貢献することを考えており、「FIRカメラ搭載フロントガラス」は2027年に量産採用実施を目指し、引き続き開発を進めるとのことです。

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Writer: くるまのニュース編集部

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