ボンネットに付いている「謎のミラー」どんな機能? 無いコトも多いけど… 限られたクルマに備わる訳

一方でフェンダーミラーのデメリットもある

 一方で、ミラーの位置が遠いため、ドアミラーよりもミラー自体が小さい場合があることや、映る鏡像が小さくなってしまうこと、歩行者との接触事故時に怪我の要因となる可能性があること、車庫入れの際、目安になる白線がドアミラーよりも見づらいなど、デメリットもいくつかあります。

 また、運転上でのデメリットではなく、「見た目がカタツムリみたいでカッコ悪い」「現代のクルマのデザインに合わない」など、嗜好面・視覚面・スタイリング面でのマイナス要素を感じる人も多いことでしょう。

トヨタのタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」に今も備わるフェンダーミラーは、写真のように左右共にドライバーの視線の先に位置しています
トヨタのタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」に今も備わるフェンダーミラーは、写真のように左右共にドライバーの視線の先に位置しています

 こうしたデメリットもあるなかで、メリットも少なくないフェンダーミラーですが、現在ではタクシー専用車以外では採用されていません。なぜでしょうか。

 日本車にミラーが装着されるようになった1950年代から、日本では「安全である」という理由で、ボンネットのついた乗用車・商用車では、フェンダーミラー以外の装着は許されませんでした。

 そのため、元来ドアにミラーを装着していた海外のクルマも、輸入時にはフェンダーミラー化されていたほどです。

 しかしこれが、輸入車の「非関税障壁」(国産品が優遇を受けるよう、税金を課す以外の用法で外国品を差別すること)になっていると海外メーカーから非難を浴びることに。

 そして1970年代後半から輸入車のドアミラー解禁が始まり、1983年からは日本車でもドアミラーが認可されるようになりました。

 なお日本初のドアミラー装着車は、初代の日産「パルサー EXA(エクサ)」でした。

 その後、デザイン的な洗練さも手伝い、ドアミラーは一気に普及。現在では、新車でフェンダーミラーを標準装着するのはトヨタ「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」のみとなり、その他の車種もオプションでフェンダーミラーを選ぶことも難しくなっています。

 JPN TAXIが頑なにフェンダーミラーを残しているのは、「タクシー専用車」という設計ゆえ。

 タクシーでは、ドライバーが首を頻繁に振って安全確認をすると、乗客から「自分を見ている」など、不快な気持ちを抱かれる場合があるといいます。

 また、助手席の乗客が大きな荷物を持っていても、フェンダーミラーでは後側方視界が確保できます。

 それ以外にも、前述の「視線移動が少ない」「車幅が掴みやすい」「狭道でも運転が容易」などのメリットも大きいでしょう。

 こうした細やかな配慮がフェンダーミラーの継続の理由、というのが実に日本的です。

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3件のコメント

  1. パルサーエクサ発売の11年前の1972年に発売されたHONDAライフステップバンはドアミラー採用されとったんやけど、、、初やないんかなぁ?

  2. 何かと思ったら、フェンダーミラーね。

    どちらも一長一短ですね。
    ドアミラーって、ガキの頃でも、あからさまに正面から、目をそらさないと見えないのに、あぶなくないのかな?と、思ったな。

  3. フェンダーミラー…を、知らない⁉!?マジかよ…
    ケンメリ、ジープ、117クーペに永く乘っていたので、ドアミラーよりも此方の方が馴染み深いし乗り易く見易い。

    然し…フェンダーミラーを知らない…時代だな…

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