さすがに「てんこ盛り」すぎ!? MTありの「全部のせ」俊足SUV! 日産「パルサーS-RV エアロスポーツ2.0」とは

もはや懐かしい日産の大衆車ブランド「パルサー」ですが、その歴史の最後を飾った5代目モデルには、とびきり個性的なSUVモデルが存在していました。

もはや懐かしい日産「パルサー」のラストを飾る俊足モデルとは

 日産の大衆車ブランド「パルサー」は、「サニー」と並び長らく日産の中心的車種として君臨し続けてきました。
 
 そんなパルサーには、現在のコンパクトSUVブームを先取りした個性強めなモデルがあったのです。

時代が早すぎた!? 日産「パルサーS-RV エアロスポーツ2.0」とはナニモノだったのか!
時代が早すぎた!? 日産「パルサーS-RV エアロスポーツ2.0」とはナニモノだったのか!

 パルサーは、4代目モデルに設定された4WDスポーツモデル「GTI-R」を筆頭に、スポーティな印象の強い車種と言えるでしょう。

 そのイメージは、最終型となってしまった5代目モデル(1995年1月デビュー)にも受け継がれています。

 ターボモデルこそ姿を消してしまったものの、1.6リッターながら175PSを発生する「SR16VE」型エンジンを搭載するグレードを設定(後期型)し、それをベースにオーテックジャパン(当時)が手掛けた「VZ-R・N1」は1.6リッターながら200PSを発生するまでに至りました。

 そんなイメージが先行する5代目パルサーでしたが、1996年5月には時代を大幅に先取りしたクロスオーバーSUVモデルの「S-RV」を追加設定しています。

 これは当初、3ドアハッチバックと4ドアセダンのみのラインナップだったパルサーに新たに加えられた新ラインナップでした。

 海外向けの5ドアハッチバックボディをベースに、ルーフレールやRVバンパーをプラスしたもので、1995年に開催された第31回東京モーターショーに参考出品された「日産S-RV」の市販モデルという位置づけとなっていたのです。

 ただ、モーターショーに展示された車両に比べると各部が大人しい仕様となっており、物足りなさを感じるユーザーが少なからずいたようで、その声に応えるように1997年1月にオーテックがリリースしたのが「エアロスポーツ」でした。

 このエアロスポーツは、モーターショーに展示されたS-RVと同じように大型のオーバーフェンダーやエアロパーツ、ドアモールに大型フォグランプを備え、足元も大径の15インチホイールを装着(通常のS-RVは14インチ)した派手めなカスタムモデルです。

 フォグランプの仕様が異なる以外はほぼ同一な仕様で、SUVテイストを強調するために4WDのみの設定となっていました。

 またインテリアも専用のシート表皮とドアトリム、ホワイトメーターを採用してスポーティさを強調したほか、ラゲッジルームスペースを確保するために、スペアタイヤを背面に移設(背面スペアタイヤレス仕様も設定)など、差別化が図られていたのです。

 そして1997年9月のマイナーチェンジのタイミングで、搭載エンジンを通常のS-RVにも設定されていた1.8リッターのSR18DE型から、カタログモデルには設定されていない(96年1月にリリースされた“オーテックバージョン”には設定)2リッターの「SR20DE」型(150PS/19.0kg・m)に換装。

 駆動方式は1.8リッター時代と同じく全車アテーサ4WDを搭載し、4速ATのほか5速MTも用意され、S-RVの車名の由来でもある「スポーティ、スペシャリティ、スタイリッシュRVの略」というものを体現する1台に仕上がっていたのです。

 なお、エアロスポーツはオーバーフェンダーを装着していたため、歴代パルサーの中では唯一となる純正3ナンバー登録となり、より特別感に拍車をかけていました。

 ただ当時はまだクロスオーバーSUVのブームはおろか、その呼び方も定着していない時代だったため、変わり種モデルのような扱いとなってしまったのは残念な限りです。

 今の時代にリリースされていたら、また違った評価をされていたかもしれませんね。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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