道路の「中央線」が動く!? なぜ時間帯で「車線」が変わる? 現在は減少傾向も一部地域では現存 走行時に気をつけたいポイントは?
時々、道路の中央線が時間帯により変化するところがあります。なぜ、そのような仕組みを設けたのでしょうか。また走行時に注意すべきポイントはあるのでしょうか。
時間帯で「中央線」が変化? なぜ設置した?
比較的幅の広い道路には中央線があり、対向車線を区分しています。基本的に中央線の位置は変わりませんが、一部の地域には時間帯により中央線の位置が変わる道路が存在します。
一体なぜそのような仕組みが作られたのでしょうか。また、中央線が変わる道路を走行する際、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
幅員の広い道路では、中央線によって対向車線が分けられており、クルマのドライバーは中央線をはみ出さないように注意しながら運転しています。
多くの場合、この中央線の位置は動きませんが、一部の地域には時間帯によって中央線の位置が変わる驚きの道路が存在します。
たとえば東京都江東区の亀戸四丁目交差点を東西に走る都道315号(通称:蔵前橋通り)では、通常、両方向が3車線ずつとなっていますが、午前7時から午前9時の時間帯は中央線の位置が変わり、片方が4車線、もう片方が2車線の道路になります。
また、滋賀県大津市にある県道558号においても一部区間で中央線の位置が変わります。
通常は京都方面が1車線、福井方面が2車線ですが、午前7時から午前9時までと午後3時から午後5時までの間は中央線が移動し、京都方面が2車線、福井方面が1車線へと変化します。
このように中央線の位置が変わる道路は「リバーシブルレーン」と呼ばれており、上記の道路以外にも新潟県新潟市や沖縄県那覇市など実は全国各地に存在しています。
では、このリバーシブルレーンは一体どのような目的で作られたのでしょうか。
国土交通省の資料では「リバーシブルレーン(可逆車線)とは、渋滞緩和のため全幅3車線以上の道路において、中央線の位置を時間帯によってずらし、交通量が特に多い方向の車線を特定の時間帯のみ増やす交通規制」と明記されています。
つまり、交通量の多い方向の車線を増やし、クルマの流れをスムーズにする狙いがあるのです。
滋賀県警察本部交通部交通規制課の担当者は、大津市のリバーシブルレーンが導入された経緯や背景について以下のように話します。
「もともとこの道路は京阪神と北陸地方を結ぶ産業道路としてトラック輸送がさかんであったほか、夏には琵琶湖方面へのレジャー客が多く通行する状況がありました。
また、大津市北部の住宅増加に伴い通勤時間帯の交通量が増えたという背景もあいまって、渋滞緩和のため導入されました」
リバーシブルレーンでは中央線の位置が変わり、もともと走っていた道路の進行方向が逆になるケースがあるため正面衝突事故の発生が懸念されていますが、前出の担当者は大津市のリバーシブルレーンにおける人身事故発生状況について以下のように説明しています。
「人身事故は令和4年(2022年)中に13件、令和3年中に18件発生しており、死亡事故は起きていません。この2年間の統計で正面衝突事故は1件のみであり、中央線の変移が事故の発生に特段関係しているようなことはないとみています」
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