車の「バンパー」ってもはや「死語」の世界!? 安全守る「鉄の棒」はどこへいったのか

3ナンバー車がバンパーのデザインを「進化」させた!?

 ところでこのころクラウンではなぜ、5ナンバー車と3ナンバー車で異なるバンパーを装備していたのでしょうか。

3ナンバー車の税金が極めて高価だった時代には、バンパーやサイドモールなどのサイズを拡大して差別化を図っていました[写真は7代目「クラウン」(上は3ナンバー車)]
3ナンバー車の税金が極めて高価だった時代には、バンパーやサイドモールなどのサイズを拡大して差別化を図っていました[写真は7代目「クラウン」(上は3ナンバー車)]

 実は当時「贅沢品」扱いだった3ナンバー車(排気量2000cc以上、全長4.7m・全幅1.7m以上など)の自動車税が、非常に高額だったことが要因として挙げられます。

 例えば1984年では、5ナンバー車の最大額が約4万円だったのに対し、3ナンバー車では(しかも3リッターまで)約8万円もしたのです。

 そのため、日本車のほとんどは5ナンバー規格に収まるように造られていました。

 そこで3ナンバー車は、5ナンバーサイズの車体のまま、バンパーやモールを大きくすることで外観を造り分けし、上級モデルとしての差別化を図っていたという訳です。

 これまで続いたメッキバンパーがクラウンの一部車種(商用モデル)以外から消えたのは、7代目クラウン(1983年~1987年)からでした。

 5ナンバー車でも黒モール付きの樹脂製カラードバンパーになり、次第に車体との融合性が高まっていきました。

 カドを落とした優美な曲面に身を包んだ8代目(1987年~1991年・一部車種は1999年まで)では、5ナンバー規格を突破した「3ナンバー専用ボディ」が導入されています。

 バンパーモールはまだ残っており、基本は黒ですが、グレードによってはボディ同色が用いられました。

 なお8代目発売中の1989年には自動車税制が大きく変更され、3ナンバー車の税金が引き下げられました。

 その結果、3リッター車の自動車税が約5万円になりました。

 こうした税制改革に加え、時のバブル経済も手伝って、日産「シーマ」や三菱「ディアマンテ」などの3ナンバー専用ボディのモデルが飛ぶように売れるようになりました。

 そして次第に5ナンバー車と3ナンバー車を造り分けることもなくなっていったのです。

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