車の「バンパー」ってもはや「死語」の世界!? 安全守る「鉄の棒」はどこへいったのか
「大きなバンパー」=「頑丈で安全なクルマ」をイメージ!?
それではここからは、現代に至るまでのバンパーの変遷・歴史について、初代デビューから70年近く販売を続けてきたトヨタの高級車「クラウン」のデザインを通じて検証してみましょう。
初代クラウン(1955年~1962年)、2代目クラウン(1962年~1967年)では、バンパーは「見るからに頑丈で重そうな形状」でした。
続く3代目クラウン(1967年~1971年)のバンパーで、ボディデザインの流れに逆らわないデザインに変化しました。
そして当時としては非常に革新的なデザイン「スピンドルシェイプ」を採用した4代目クラウン(1971年~1974年)では、画期的な「ボディと一体化したバンパー」に挑戦。
しかし斬新すぎるデザインが保守的なクラウンユーザーに受け入れられず、マイナーチェンジでメッキの面積を増やして、バンパーの存在感を「復権」させています。
これを見ても、当時は「バンパー=メッキで頑丈なもの」というイメージが強かったことがうかがえます。
その反動を受けてか、5代目クラウン(1974年~1979年)では、どっしりとした高級車らしいスタイルに回帰。
バンパーも、再び大柄なメッキバンパーに戻っています。
注目点としてはこの5代目から、バンパーのカドに、樹脂製のゴムブロックを貼り付けるようになったことが挙げられます。
6代目クラウン(1979年~1983年)では、当時流行していたスクエアなイメージに変わりました。
バンパーは5ナンバー(小型自動車)車と3ナンバー(普通自動車)車で大きくデザイン・素材ともに異なっており、前者はメッキバンパーに黒い樹脂モールが巻かれ、後者ではこの頃登場しはじめた「樹脂製バンパー」「ボディ同色(カラード)バンパー」を採用したことが大きなトピックでした。
興味深いのは、長年にわたり君臨していたメッキバンパーと、新しい素材により自由な形状を可能にした樹脂バンパーが併用されていたことです(TOPページ画像参照)。
1970年代と80年代では、クルマのデザイン自体にも明らかに大きな進化がありますが、新旧2種のバンパーが用いられていたこの6代目クラウンは、まさにクルマのデザイン上の過渡期・転換点の象徴と言えます。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。