もはや懐かしい! エンジン始動時の「ナゾ儀式」 “一発で始動”が当然ではない時代に必要だったドライバーの「テクニック」とは

エンジン始動には欠かせない「マニュアルチョーク」の「儀式」とは

 まず、全手動式「マニュアルチョーク」の場合から紹介します。

 ドライバーはエンジンの温度や気温を感じ取り、チョークノブを引く量を決めます。

 温度が高い時はノブを引かず、ぬるい程度なら半分程度引き、冷えていればいっぱいに引く、などです。

写真はトヨタ「カローラレビン」(TE27型)のチョークノブ
写真はトヨタ「カローラレビン」(TE27型)のチョークノブ

 特にエンジン温度が低い時は、チョークノブを引くことに加えて、スターターモーターを回す前に数回アクセルペダルを操作し、エンジン内部にガソリンを送っておきます。

 スターターモーターを作動させているときにも、ドライバーはエンジンの回転具合に気を配ります。

 いつもより長く回してもエンジンがかかりそうにない時には、アクセルペダルを踏んだり離したりしてさらにガソリンをエンジン内部に送ります。

 また、アクセルペダルを全開にすると、空気だけがより吸い込まれますので、ガソリンの量を減らせます。

 このようにして、スターターモーターが作動しているときの空気とガソリンの量を調整し、なるべく早くエンジンがかかるようにするのでした。

 もしエンジン始動に失敗すると、しばらくスターターモーターとバッテリーを休ませ、エンジン内部に入ったガソリンを揮発させます。

 とはいえ、ここまで手間がかかるのはハイパワーエンジン車であり、標準的なエンジンを搭載するファミリーカーでは、多くの場合、チョークノブの操作のみでエンジンを始動できました。

 しかしエンジンがかかっても、気は抜けません。

 エンジンはアイドリング回転数を高くするファーストアイドルを行うのですが、エンジン温度の上昇とともに、ドライバーによりチョークバルブを徐々に押し戻す操作が必要です。

 これによりチョークバルブが開き、吸い出されるガソリンの量が減少、アイドリング回転数も低下します。

 この操作を忘れるとガソリンの量が多すぎて、エンジンが十分に吹け上がらないのです。

 ドライバーがチョークノブを戻すことを忘れることが多かったのか、チョークノブを戻すように促すインジケータランプを点灯させたり、チョークノブの部分に電気スイッチを設け、エンジンが温まったらチョークノブ位置を強制的に戻すようにしたものもありました。

【画像】もはや懐かしい! 「チョークノブ」どこについてた!? 写真で見る(16枚)

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