もはや懐かしい! エンジン始動時の「ナゾ儀式」 “一発で始動”が当然ではない時代に必要だったドライバーの「テクニック」とは

チョークは「セミオートチョーク」に進化!?

 排ガス規制が始まったり、高級志向が強まってくると、チョークも自動化が進められ、1970年代初め頃になると「セミオートチョーク」が登場しました。

 この方式にはチョークノブはなく、チョークバルブの閉じ具合は半自動化されています。

 それではドライバーは、どのようにチョークを意識すれば良いのでしょうか。

写真はトヨタ「カローラレビン」(TE27型)のキャブレター
写真はトヨタ「カローラレビン」(TE27型)のキャブレター

 ドライバーはエンジンの温度や気温から、チョークバルブを作動させた方が良いかどうか、判断します。

 チョークバルブを作動させるときには、スターターモーター作動前にアクセルペダルを全開位置まで一回踏み込んで、元に戻します。

 すると、チョークバルブが適正な位置にセットされて準備完了、ドライバーはスターターモーターを回してエンジンを始動し、ファーストアイドルを行います。

 エンジンが温まるにつれてアイドリング回転数が上がっていくので、ドライバーはアクセルペダルを軽く踏みます。

 するとチョークバルブが少し開くことで、ファーストアイドルが解除され回転数も少し下がります。

 アイドリング回転数とエンジン温度が上がるたびにこの操作を繰り返し、最終的にエンジンの暖機運転が済むまで続けます。

 セミオートチョークの採用によりチョークノブ操作が不要になり、季節を問わず誰でもエンジンを始動できるようになりました。

 そしてこれが「フルオートチョーク」に進化していきます。

 フルオートチョーク式では、チョークノブはもちろんのこと、アクセルペダル操作も不要です。

 ドライバーはイグニッションスイッチを操作し、エンジンを始動するだけで済むようになりました。

 ファーストアイドルは行われますが、解除も自動です。

 しかし、この頃になると電子制御燃料噴射式エンジンが普及してきたために、フルオートチョーク式キャブレターのエンジンは短期間で次世代にバトンタッチしました。

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