車名が「教習車」!? もはや買いたくても買えないベース車「不在」の教習所「専用車」とは

教習車でも「走るたのしさ」に配慮!

 実はこのモデル、日本では生産しておらず、タイからの輸入車ということになります。

 ベースとなったMAZDA2は、マツダ教習車登場以降も何度か改良がなされていますが、マツダ教習車はいわゆる“デミオ時代”のフロントマスクを踏襲しています。

 これは補修のしやすさも考えたものであり、ある程度の期間、使用されることを考えた上での措置と言えるでしょう。

マツダ「教習車」の助手席には教官(指導員)に用意された専用のサブブレーキ&フットレストも備わっています
マツダ「教習車」の助手席には教官(指導員)に用意された専用のサブブレーキ&フットレストも備わっています

 そんなマツダ教習車ですが、パワートレインは基本的に国内のデミオと共通となっており、1.5リッター「SKYACTIV-G」ガソリンエンジンと6速MT、もしくは6速ATとの組み合わせ。ベース車に備わる「G-ベクタリングコントロール」も搭載され、運転しやすい車両特性を備えているのも同一です。

 これは、教習車であっても走る歓びを感じてもらいたいというマツダの考えから来るものです。

 適切な位置に配置されたペダルレイアウトや、正しいドライビングポジションを取りやすくするために備わるチルト&テレスコピックステアリングにシートリフターなど、運転にまつわる部分には一切コストカットがされていない点もその一環と言えるでしょう。

 もちろん教習所を運営する側への配慮もなされています。

 ベース車がアクセラからデミオに変わったことにより、タイヤサイズが1インチダウンとなり、タイヤやホイール交換にかかるコストが抑えられたことや、高効率なSKYACTIV-Gエンジンとしたことで、燃費性能も向上しています。

 さらに、万が一後退時に接触してしまった場合でも、プロテクター部分のみを交換できるようなリペアビリティの高さなどもしっかり考慮されているのです。

 加えて、教習車としての使い勝手を向上させるために、助手席にもシートリフターを装着したほか、足元に備わる発煙筒の位置の最適化や、足元のヒーターダクトの位置の最適化を実施。

 教官用のサブブレーキを小型化することで足元空間を確保し、最適な角度のフットレストを用意するなど、教習車としてのこだわりぶりもかなりのものとなっています。

 またボディカラーも、マツダのプレミアムカラーとして知られる「ソウルレッドクリスタルメタリック」や「マシーングレープレミアムメタリック」も用意されています。

 マツダによれば、有料色ながらも多くの教習所で選ばれているそうで、教習生からの評判も上々なんだとか。

 このように教習車からも人馬一体の走る歓びを感じてもらおうと、ある意味「草の根運動」のような感覚でリリースされているマツダ教習車。

 我々一般ユーザーは購入することができないのが残念なところですが、教習所によってはペーパードライバー教習などを実施しているところもありますから、すでに免許を取得している人もマツダ教習車に乗るチャンスはありそうですね。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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