セナがくれた包帯 元F1ドライバー中嶋 悟さんが語る現役時代、そして2017年の展望

ルーキーイヤーのチームメイトは伝説のあのドライバー

 続いて話題は、中嶋さんのデビューイヤー1987(昭和62)年のハイライトとして、第7戦「イギリスグランプリ」におけるファイナルラップでのひと幕に。このレースは1位から4位まで、ウィリアムズとロータスのホンダエンジンを搭載したマシンが独占。マンセル、ピケ、そしてチームメイトであるセナの順にゴールし、中嶋さんは4位入賞を果たしました。

「シルバーストーンサーキットのバックストレートを走る4台の写真があるんです。前をゆくマンセルとピケが接触しそうになっている、ファイナルラップあたりのものです。このときセナも僕も『やれよー』と思ってました(笑)」

 ハンドルを握りつつ、前を走るライバルの接触リタイアを願っていたとのことで、「敵がいなくなることほど簡単なことはないですから」と、中嶋さんはドライバーの素直なところでの気持ちを吐露しました。

 このときのチームメイトであるアイルトン・セナに話がおよぶと、中嶋さんは「本当のパーソナルはよくわからないんです」としつつ、「彼にとって僕は敵じゃない、僕にとっても敵とするには格上すぎる、という感じで、非常に仲良くやらせてもらいました」と話しました。

 サーキットに着くたびにその攻略方法をこと細かに教えてくれたり、モナコではギアチェンジを多用することから手が水膨れのようになるため、わざわざ包帯を買ってきてくれて「これを巻いていけ」とアドバイスしてくれたりと、F1ルーキーの中嶋さんに対し3年先輩にあたるセナは、とても面倒見のよいチームメイトだったそうです。

「僕にとっては優しい弟みたいな存在でした。歳が若いくせに偉そうだけど(笑)」

 一方で、そうして身近に接していたぶん、「世界とはこんなに厳しいものか、と、目の前で見せてくれました」とも。セナはこの翌年、マクラーレン・ホンダへチームを移籍し、そして自身初のワールドチャンピオンに輝きました。

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